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平成16年9月

1.総務企画部会長報告 (竹田 部会長)

1)台風がもたらした被害への対応について
(質問)
 台風21号により大きな被害が出て大変混乱している状況である。今年は特に一連の台風により甚大な被害が出ているが、今回の被害に対する予算措置の状況はどうか。
(答弁)
 災害対策本部発表の被害額は、台風10号、15号については56億8千945万円、台風16号、18号については179億8千500万円、合計で236億7千445万円となっている。このうち、台風10号、15号の被害対策として、一般会計38億6千126万円の補正予算を計上したところである。
 台風16号、18号については、今、鋭意精査中であり、議会最終日に追加提案したいと考えている。
 また、先般、知事が総務省に緊急要望し、財源確保に努めるとともに、国土交通省に2次災害防止予算の採択を要望しており、被災地の一刻も早い復旧を図りたい。

2)警察捜査報償費の会計処理及び監査について
(質問)
 警察捜査報償費について、何に基づいて、どのように支払っていたか、また、監査の方法はどのようにしていたか。
(答弁)
 支払方法については、地方自治法施行令・会計規則で、特定の経費については資金を前渡しできることとなっており、警察捜査報償費もこの経費に該当することから、前渡しをしている。警察本部は会計課長、警察署は副署長を資金前渡し担任者と定め、毎月必要な額について請求があり、口座振替により支出している。
 また、監査については、平成13年度までは、現金出納簿のみを監査していたが、平成14年度以降は、不正経理が社会問題化したため現金出納簿以外の支出精算書、領収書も監査し、整合性を確認している。

3)地域の振興について
(質問)
 時代が大きく変っている中、個々の地域がそれぞれの特性を活かして発展していくことが大事である。県として、地域の振興・発展のため、どう取組んでいくのか。また、三位一体改革がなされている中で、県長期計画をどう推進するのか。
(答弁)
 今後の地域振興に当たっては、観光振興や地域コミュニティーの再生など、地域の資源・特性を活かした内発型の振興を図ることが重要であると考えている。
 地域の資源などを活用して、経済の活性化を目指す構造改革特区や地域再生制度について、本県から30を超える提案がなされており、そのうち、松山市の「歩いて暮らせるまちづくり交通特区」など6つのプロジェクトが認定されているが、新たな提案の掘り起こしを図るため、さらに強力にPRしていきたい。
 また、県の長期計画の推進については、18年度から始まる後期実施計画において、三位一体改革の影響等も考慮に入れながら、施策の選択と集中を基本として、検討を進めたい。

(その他の議論)
 ・県地方局の再編
 ・市町村合併
 ・私立学校の経営状況
 ・愛媛ハワイ会の活動状況
 ・野球の四国独立リーグ

2.環境保健福祉部会長報告 (田中 部会長)

1)被災者生活再建緊急支援事業について
(質問)
 今回予算計上されている被災者生活再建緊急支援事業における住宅の被害認定の基準と、支給時期はどうか。
(答弁)
 住宅の被害認定は、延べ床面積の損壊割合と経済的被害割合という内閣府が示す2つの基準に基づき、市町村が建築士など専門家の評価を得て行っており、今回の予算積算上の対象世帯数は、全壊が19世帯、大規模半壊が10世帯、半壊が4世帯、一部損壊が29世帯、床上浸水が462世帯となっている。
 また、支援金については、10月中には被災者へ支給ができるよう努めたい。

2)BSE全頭検査の継続について
(質問)
 BSE全頭検査を継続するかどうか、県の考え方を改めて示して欲しい。本会議での部長答弁は、若齢牛の検査はしないという前提であったように思うがどうか。
(答弁)
 現在、若齢牛は検査をしないと決定しているわけではない。また、今は決める時期にはないと判断している。安全の基準は全国的に統一されるべきものであり、国民の合意が得られるような国の判断に期待している。
 県としては、国の判断の根拠や他県の動向、消費者の意向・関心、生産者の思いなどを総合的に判断していきたいというのが答弁の真意である。

3)災害ボランティアへの対応について
(質問)
 災害時のボランティア活動におけるコーディネーターの養成が必要であると思うが、今後の県の対応はどうか。
 また、静岡県では活動資金として県費と寄付金の中でファンドを作って支援しているとのことだが、本県での対応はどうか。
(答弁)
 今回の新居浜市の災害では、県社会福祉協議会の職員がボランティアコーディネーターとして協力したところであるが、今後とも県社会福祉協議会と連携してボランティアコーディネーターの養成に努めたい。
 また、活動資金については、共同募金の年間寄付金の3%を災害の準備金にできるという制度があり、県の共同募金会では年間約3億円の募金があるため、今年度も1千万円を積み立てることとしており、今回の災害についても当制度により支援を行うこととしているが、静岡県の例のような資金についてもぜひ検討してまいりたい。

(その他の議論)
 ・災害時の対応
 ・伊方原発におけるプルサーマル計画
 ・産業廃棄物税の導入
 ・通信制による看護師養成制度
 ・えひめこどもの城の指定管理者制度の導入

3.農林水産部会長報告 (岡田 部会長)

1)台風被害の状況について
(冒頭説明)
 理事者から8月以降に来襲した台風10号から18号までの4個の台風による被害は、9月27日現在で、水稲、果樹などの農作物の被害が約68億1千万円、農地、農道などの耕地関係、約31億8千万円、治山、林道など林業関係、約52億5千万円、漁港、水産業施設、約26億6千万円となり、合計では約179億円となる。
 台風10号、15号による農林水産施設の復旧と、新たな被害を防止するための災害復旧予算を計上したところであるが、その後に被害を受けた農作物については県単独の低利の融資制度や農作物樹勢回復対策などの支援を検討しており、今後とも市町村、農業団体と連携し、適切な復旧対策を講じて参りたい。

2)台風による被害のうち、かんきつ類の潮風害に対する取り組みについて
(質問)
 台風によるかんきつ類の潮風害は、はなはだしいものがあったが、これに対する県の取り組みはどうか。
(答弁)
 落葉率70%以上の被害甚大樹は施肥を中止し全部摘果を指導するなど、市町村、関係団体と連携し、樹体の被害に応じた技術指導を徹底し、被害を最小限とする事後対策に努めている。
 また、海水流入園については石灰、硫酸カルシウムを散布し、土壌中の塩分を除去するよう指導している。今後の対策としては、かんきつ以外の単年性の野菜、花などの塩害に強い作物への転換も含め、それぞれの産地に適合した対策を検討し、地域の再生に取り組むこととしている。
(要望)
 かんきつ園の被害の復旧、改植など、相次ぐ被害を受けた農家の意欲を高めるような、農家を勇気づけるような支援をして欲しい。

3)被災した漁業者に対する支援策について
(質問)
 水産関係の被害も大きかったが、被災した漁業者に対する支援策についてはどうか。
(答弁)
 台風16号及び18号による漁業被害は、特にいかだなど養殖施設で大きかったが、これらの被害に対しては、共済制度と金融支援が対策の中心となると考えている。
 金融支援としては、融資資金の償還が困難となった漁家に対しては、償還期間の延長や、繰延償還の適用などの緩和措置を講じたところであり、既存の制度資金では対象とならないいかだの修繕など、被害の実態に応じた復旧に必要な資金などをより低利で融通できるような県独自の金融支援制度の創設について現在検討中である。
(要望)
 今回のような災害から立ち直るきっかけとするためにも、融資だけでなくきめ細やかな支援策も検討して欲しい。

(その他の議論)
 ・農業用ため池の改修
 ・漁業取締船係留桟橋の処分
 ・水稲の作況
 ・BSE全頭検査
 ・豊かな漁場環境づくり

4.警察経済部会長報告 (寺井 部会長)

1)持続的な観光振興に向けた町並博の成果について
(質問)
 今回の町並博が起爆剤となり、今後も地元主体の観光振興の取組みを持続させてほしいが、成果はどうか。
(答弁)
 今回の町並博では、観光振興の取組みが今後も持続するよう地元住民グループの育成に力を入れてきたところであり、現在82の自主企画イベントが稼動している。
 この中から、大洲での郷土料理店の開店や内子でのレトロバスの運行のほか、新しい商品を開発して店頭で販売するなど、数多くの成果が上がってきている。
 今後、これら町並博で育った住民グループを中心として、様々な観光まちづくり事業が展開されるものと期待している。

2)県立中央病院の建替えについて
(質問)
 建替えについての検討状況はどうか。
(答弁)
 建替えに当たり、病院現場の意見が反映されるよう医師等様々なスタッフで構成されている県立中央病院将来構想検討委員会の意見を踏まえながら県立病院機能・あり方庁内検討委員会で本年3月、建替え基本構想として基本的な考え方を整理したところであり、県下の基幹病院としての機能を引き続き維持するとともに、単なる建替えではなく、21世紀の医療の進歩と多様性に対応できるよう、高度な機能を有する診療科のユニット化を図り、高度専門医療を効果的・効率的に提供する高度総合医療センターを目指すこととしている。
 また、施設面については、手術室の増設や検査室の充実はもとより、エレベーターの増設、6人部屋の解消、バリアフリーへの対応、談話室やデイルームの設置等によるアメニティの向上、更には大規模災害時、緊急時のためのヘリポートの設置など患者の様々なニーズを踏まえた施設となるように検討したい。

3)県警の捜査費問題について
(質問)
 県警の報告書を見る限り、大洲署以外の警察署では不適正な会計処理はないと言っているが、県民の大半は疑いを持っている。県民の目は厳しいものがあると思うがどうか。
(答弁)
 他の警察署においては大洲署のような偽領収書の作成はなかったものと判断している。必要な調査は尽くしたと考えており、今後は内部の監査を充実強化していきたい。また、県の監査委員の監査も今までよりは充実した形で実施するという風に聞いているので、これに誠実に協力していきたい。
(関連)
 警察内部のことを警察が調べただけでは県民の納得が得られないのではないか。この際、県警に対し特別監査を実施すべきではないかとの意見が出され、最終的に、当委員会としては、特別監査を実施すべきであるとの意見に集約され、その旨を議長に報告することとなった。

(その他の議論)
 ・台風による商工業被害
 ・セカンドオピニオン
 ・西条地区工業用水の松山市上水への転用
 ・交通安全施設移転等整備
 ・警察署の統合

5.建設部会長報告 (猪野 部会長)

1)一連の台風災害における流木災害対策について
(質問)
 今回の台風による被害を大きくした原因の1つは流木にあり、その対策をどのように考えているのか。
(答弁)
 今回の台風被害の特徴として、土砂の流出に加えて多量の流木が流出し、下流河川の橋梁や湾曲部に溜まって河川を氾濫させたり、海に流出した流木により、船舶や漁業に影響を与えている状況である。
 このため、流木の撤去を早急に進めるとともに、従来の土砂災害対策に加えて、森林管理や道路橋梁の構造等を踏まえた総合的な対策の検討を進めて、今後の復旧事業に活かしていきたい。

2)災害時における建設業者の活用と対応について
(質問)
 今回の台風をはじめ大規模な災害が発生した場合、その応急対策には建設業界の協力が必要不可欠であると思うが、どのように考えているのか。
(答弁)
 広域で大規模な災害が発生した場合、人的、物的にも限界があるので、県下全域に会員を持つ県建設業協会と大規模災害発生時における協定を締結したところである。
 その具体的な内容は、協会と被害情報の収集や提供等について協力体制を整えるとともに、協会が区域ごとに応急対策業務施工者の調整を行い、緊急的な障害物の除去や応急工事に対応することとしている。
(質問)
 災害時にボランティアとして貢献した建設業者に対して、県発注工事等での優遇措置を考えてはどうか。
(答弁)
 県発注工事の業者選定にあたり、従来の指名基準と同運用基準の項目に災害ボランティア等の地域貢献活動を新たに追加して、災害復旧工事を中心とした県発注工事の指名にあたり、災害ボランティアへの参加なども評価の一つの要素とすることや、現在見直しを行っている平成17、18年度格付けにおいて、加点措置を行う等の優遇措置を考えている。

3)三位一体改革による河川、砂防、道路関係事業予算への影響について
(質問)
 三位一体の改革による河川、砂防、道路関係事業予算への影響や、今後の予算確保に向けた対応をどのように考えているのか。
(答弁)
 地方6団体の案によると、河川、砂防関係事業の削減割合が高くなっており、被災地の住民の期待に応えることができなくなる可能性もある。
 また、道路事業についても、三位一体改革の削減項目に入っていないが、今後、予断を許さない状況である。
 そこで、三位一体改革にあたっては、確実に税財源移譲が担保され、地方に新たな負担を求めない改革とする必要があると考えている。特に河川や砂防事業においては、災害の発生状況に応じて、全国的な視野から予算の重点配分を考える必要があり、国に対して社会資本整備の重要性を訴えていき、財源の確保に努めていきたい。

(その他の議論)
 ・道路等の交通規制情報の周知体制
 ・砂防関係施設の効果と今後の整備
 ・災害時における体制と関係機関との連携

6.文教部会長報告 (薬師寺 部会長)

1)海外への修学旅行について
(質問)
 えひめ丸事故を風化させないための前向きな取組みとして、今年度初めて実施された宇和島南高校のハワイへの修学旅行の成果はどうか。
(答弁)
 えひめ丸の慰霊碑を訪れたり、現地の高校生と交流したりしたと聞いている。帰国したばかりであり、詳細な報告は受けていないが、今回の成果を基に、他の学校にも広がればと思っている。
(要望)
 松山市が韓国の平澤(ピョンテク)市との友好都市提携を機に、中学生の韓国への修学旅行を検討していると聞くが、感性豊かなうちから外国の生活文化に触れることは有益であり、ソウルや上海への定期便を活用した修学旅行も推進してほしい。

2)栄養教諭について
(質問)
 法律改正により、栄養教諭制度が創設されることとなったが、現在の学校栄養職員のうち、栄養教諭免許の取得を希望している者の状況並びに免許取得に対する支援等はどうか。
(答弁)
 学校栄養職員は、小中学校、県立特殊学校合わせて148人であり、このうち141人が免許取得を希望している。
 県では、栄養教諭養成課程を設置予定の大学と連携しながら、学校栄養職員が、栄養教諭免許を取得するための講座を開設できるよう検討している。
(要望)
 食の安全、食育が重視されており、円滑に免許が取得できるよう支援してほしい。

3)中1ギャップについて
(質問)
 小学生から中学生になることに伴う環境変化等により、不登校が急増する、いわゆる「中1ギャップ」について、本県の状況と対応はどうか。
(答弁)
 本県においても、中学1年生の不登校は増加する傾向にある。
 このため、中学校には、「スクールカウンセラー」や「ハートなんでも相談員」を、また、小学校には、「子どもと親の相談員」を配置し、相談体制を充実するなどして不登校解消に努めている。
(質問)
 中学生になって友達ができない悩みを持つ子供のために、仲間づくりを行うなど、中1ギャップを解消するための取組みを行ってはどうか。
(答弁)
 中学1年生については、35人学級を編成するなどして、きめ細かな配慮に努めるとともに、中学校に入学予定の子どもたちを集めて、授業参観や説明会を実施するなどの工夫をしている。

(その他の議論)
 ・台風による学校施設等の被害状況
 ・高等学校の再編整備
 ・校舎の耐震診断
 ・国体に向けた施設整備と競技力向上
 ・高校の中途退学状況