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平成17年9月

1.総務企画部会長報告 (黒川 洋介 部会長)

1)財政構造改革について
(質問)
 厳しい財政状況の中、財政構造改革に向けた県の具体的な取り組みはどうか。
(答弁)
 財政破綻のシグナルが点滅し、三位一体改革が進行する中、まず知事公舎の売却など大規模な県有財産の処分による歳入対策を講じるとともに、歳出面では、全国でも最高水準の新たな定員適正化計画に基づく職員数の削減を図っている。
 また、15年度から3年連続となる大型シーリングにより、かなりの歳出削減を行ってきたが、今後更に思い切った歳出削減を実施する必要がある。
 県庁内においても、ノー残業デーの徹底、日曜日の庁内原則立入禁止による超過勤務の縮減や全庁的な事務経費の節約運動を実施し、歳出の削減に取り組んでいる。
 健全財政を目指し、現在、中期財政見通しを精査中であるが、財政再建策をできる限り盛り込んだ基本方針を策定するとともに、優先度や緊急度の高い施策への重点配分のための予算編成システムの変更に向けて、鋭意努力している。

2)幼保一元化モデル調査研究事業について
(質問)
 補正予算に計上しているこの事業は、どのような調査・研究をするのか。
(答弁)
 幼稚園と保育所を一元化する総合施設では、0歳から5歳までの幼児が同じ施設で教育・保育を受けることになるため、具体的にどのような教育・サービスを提供すればよいのか、また、年齢に応じた重点の置き方や異なる年齢間のふれあい、交流のあり方などについて調査、研究する。
 更に、幼稚園教諭と保育士の配置や役割分担、給食設備などの施設面のあり方についても調査するほか、保護者へのアンケート調査を実施し、総合施設に対するニーズを調査したい。

3)愛媛FCについて
(質問)
 これまでの愛媛FCとの関わりはどうか。また、なぜ、今回のような展開となったのか。
(答弁)
 愛媛FCについては、地域の活性化や地域経済の振興の立場から企画情報部が所管しており、本年6月補正予算で出資金を松山市とともに協調して計上するとともに、Jリーグへの予備申請等の窓口を担当し、愛媛FCなどと連動してJ2昇格に向けて取り組んで来ている。
 陸上競技場の座席の個席化については、昨年も課題としては挙げられていたが、去る8月の予備審査でJリーグ昇格の最低条件として強く求められたものであり、突然のことであったとの印象を持っている。
(質問)
 陸上競技場は25年が経過し老朽化が激しいため、大きな改修を行うことには賛成する。また、青少年スポーツの振興からも愛媛FCを前向きに支援していく必要があるが、一方、採算面には不安が残る。
(答弁)
 経営に関しては、今後、外部有識者を含めた「経営審査委員会」を設置し、健全経営が確保されるよう努めたい。

(その他の議論)
 ・ESCO事業の導入
 ・市町合併推進審議会の設置
 ・公の施設のあり方の検討
 ・電子決裁システム等の利用状況
 ・県都松山の交通体系

2.環境保健福祉部会長報告 (本宮 勇 部会長)

1)アスベスト対策について
(質問)
 今後、アスベスト対策説明会を開催する予定であると聞いているが、その概要はどのようなものか。
(答弁)
 アスベスト対策説明会については、東・中・南予の3カ所で、建設事業者や各種施設管理者、市町職員などを対象に考えており、希望があれば一般県民も参加してほしいと考えている。
 説明会の内容としては、アスベストの基礎知識や労働安全衛生対策、廃棄物の適正処理などを重点的に考えており、今後、建築物の解体工事によるアスベストの飛散を防ぎ、県民の健康被害の防止を図っていきたい。

2)男女共同参画について
(質問)
 男女共同参画に関連して、男らしさや女らしさを全て否定したり、男性と女性の区別をなくそうとする「ジェンダーフリー」という用語があるが、県はどのように考えているのか。
(答弁)
 「ジェンダーフリー」という用語は、多様な意味で使われており、一部では画一的に男女の違いをなくして、人間の中性化を目指す意味で使う人もいるが、男女共同参画社会というのは、このようなものを目指すものではない。
 このため、県としては、その誤解や混乱を避けるため「ジェンダーフリー」という用語を使用しないこととしている。本来、男女共同参画社会というのは、男女が互いに人権を尊重しながら、また責任を分かち合い、個性と能力を十分に発揮することができる社会を目指しているものであり、その社会づくりの理解が深まるように、分かりやすい広報や啓発に努めたいと考えている。

3)県立社会福祉施設について
(質問)
 県立社会福祉施設の6施設を廃止するということであるが、その理由は何か。
(答弁)
 県では社会福祉施設の12施設について、県立施設としての存続か廃止かの検討を行ってきたが、松前清流園など6施設は、民間施設がない時代に県が先導的に整備したこと。民間施設が整備されてきたこと。支援費制度が導入されたことなど施設を取り巻く環境が大きく変化したことから、民間に移譲することにした。
 なお、移譲先としては、入所者に不安を与えることなく引き続きサービス提供ができ、今までの実績もある社会福祉事業団としている。
(要望)
 移譲される松前清流園などは築40年近く経過していることから、県が条件整備をして、施設が十分機能して、快適な居住空間が確保できるようにしてほしい。

(その他の議論)
 ・愛媛県青少年保護条例の改正
 ・プルサーマル問題
 ・介護保険制度
 ・乳がん検診

3.農林水産部会長報告 (寺井 修 部会長)

1)JAの指導について
(質問)
 相次ぐJAの不祥事件についての県の考えはどうか。また、JAに対しての指導状況はどうか。
(答弁)
 平成15年度以降、不祥事件の発覚が後を絶たない状況にあるが、不正の発生時期は、約8割が平成14年度以前であり、平成15年度以降は減少傾向にあることから、JA自体のコンプライアンス意識が徐々に醸成されてきたのではないかと考えている。
 また、不祥事件に対しては、文書や検査により再三にわたり指導を行うとともに、一部のJAに対しては、農協法に基づく業務改善命令の措置を講じる等、不祥事件防止に向けて厳しく対応してきたが、該当JA以外のJAは、言わば他人事のように受け止め、コンプライアンス意識の醸成が低調であったと考えている。

2)BSE対策について
(質問)
 BSE対策については、適切に対応してもらいたいが、今回の国におけるBSE対策の見直しの内容及び対応状況はどうか。また、慎重な対応が求められる米国産牛肉の輸入再開についての現状はどうか。
(答弁)
 食品安全委員会の答申を受け、農林水産省では、飼料販売業者届出制度については、これまでの製造業者と卸売業者のみの対象を小売業者まで拡大し、飼料規制の実効性を確保するための指導強化を図っている。厚生労働省では、と畜場における検査月齢を21ヵ月齢以上にするよう見直したところであるが、県では、20ヵ月齢以下の牛についても、県民の県産牛肉への信頼を確保するため、全頭検査を継続実施することとしている。
 また、米国産牛肉の輸入再開については、現在、食品安全委員会のプリオン専門調査会において慎重に審議されており、国においては、米国内のBSE対策や牛肉生産流通の実態等について、委員を派遣して現地調査を行っている。
 その他、国民に対しては、米国産牛肉の輸入再開条件に関するパブリックコメントやリスクコミュニケーション等を実施し、慎重に対応している。

3)離島漁業再生支援交付金事業について
(質問)
 今回の補正予算に計上されている離島漁業再生支援交付金事業について、その内容はどうか。
(答弁)
 当該事業は、離島振興法指定の県下32有人離島のうち、本土と架橋により結ばれているもの、漁業集落のないものを除き、一定の要件を満たす離島を対象地域として、今後5年間実施することとしている。
 事業内容は、漁村地域の活性化を図るため、市町が各離島の漁業振興方向に関する目標等を定めた計画に基づき、各漁業集落が協定で定めた種苗放流や藻場・干潟の管理、改善などの取り組みや集落の創意工夫を生かした新規漁業への着業などの自主的な活動に対して支援をするものである。
 なお、本土からの航路時間30分以上の離島が対象地域となるほか、30分未満の離島については、国のガイドラインに基づき、地理的・経済的・社会的条件による不利益性等を検討して、県が特認離島として認定し、対象地域とすることとなっており、今年度は市町からの要望を踏まえ、上島町、松山市、八幡浜市の3市町8島で実施することとしている。

(その他の議論)
 ・グリーンツーリズムの推進
 ・漁協合併
 ・中山間地域等直接支払制度
 ・みかん研究所の整備

4.警察経済部会長報告 (明比 昭治 部会長)

1)天然素材利用機能性製品開発研究について
(質問)
 補正予算に計上されている天然素材利用機能性製品開発研究の具体的内容はどうか。
(答弁)
 この研究開発事業は、みかんの残渣や魚などの未利用の食品残渣などから、ペプチド、オリゴ糖などの体に良い影響をあたえる要素である機能性成分を大量に製造する技術を開発しようとするものであり、えひめ産業振興財団を中心に、工業技術センターなどの県の研究機関や、愛媛大学、産業技術総合研究所、タオル関係などの企業、合わせて10機関で研究共同体を形成し、研究開発に取り組むものである。
 具体的には、各機関が成分の抽出に最適となる条件の検討や、効果の特定、さらには、成分を大量かつ安定的に供給するためのシステムの開発などを分担して研究する。
 新しい製造技術が開発されれば、機能性成分を安く大量に、速く生産できるため、いろいろな分野への応用が期待される。

2)交通事故の発生状況と高齢者世帯交通安全訪問事業の成果について

(質問)
 県内の交通事故の発生状況はどうか。また、本年3月で終了した高齢者世帯交通安全訪問事業の成果はどうか。
(答弁)
 本年8月末現在、交通事故の発生件数は7,272件で昨年同期に比べ317件減少し、負傷者は8,942人で306人減となっているが、死者については73人で7人増加している。
 また、高齢者世帯交通安全訪問事業は、平成15年9月から本年3月末まで実施され、期間中、約10万人の高齢者に対し自宅訪問による交通安全指導を行った。
 その結果、訪問指導を受けた高齢者の死亡事故件数は、受けていない高齢者の3分の1に抑えられるという成果を得た。
 効果があれば継続すべきではないかとの声もあり、今後、どのような形で行えるか、よりよい方法を検討している。

3)北宇和病院の公設民営化について
(質問)
 鬼北町議会で、北宇和病院の運営に係る指定管理者に関する議決がなされたが、今後、県は北宇和病院の公設民営化に向けて、どのように進めて行くのか。
(答弁)
 今年度末をもって廃止予定の県立北宇和病院の鬼北町移譲後の受け皿については、9月30日の町議会において、申請のあった社会福祉法人を指定管理者として指定する議決が行われた。
 今後の取り組みとしては、町と指定管理者において、北宇和病院の管理に関する協定書締結に向けた具体的な協議や、病院開設に向けた準備が進められることとなる。
 また、指定管理者が指定されたことにより新病院の機能・体制等が確定し、収支見込みも明確になることから、県においても、運営費や施設・設備整備費に対する財政的支援、また、医師等の医療スタッフの派遣などの支援について、町と協議していきたいと考えている。

(その他の議論)
 ・大型郊外店の撤退に伴うテナントへの支援
 ・来春の新規学卒者の就職状況
 ・県立中央病院へのオーダリングシステムの導入
 ・最近の犯罪の発生と検挙状況

5.建設部会長報告 (河野 忠康 部会長)

1)総合運動公園陸上競技場の整備について
(質問)
 J2入りに関連し、総合運動公園陸上競技場の改修費を追加したが、改修内容はどうか。
(答弁)
 8月29日の予備審査の結果として、Jリーグ側から提示された陸上競技場に関する要改善項目は、メインスタンドの個席化、電光掲示盤の設置、VIP控室の改修、ピッチ芝の植え替えと芝面拡大、記者席の改修、トイレの増設の6項目であるが、メインスタンド席の現状の長椅子席を背もたれ付きの個席として3,000席分改造することなど、今回予算に計上した。
(質問)
 今後陸上競技場の改修等によって観客が増えてきた場合、今でも少ない総合運動公園の駐車場の確保が一番ネックになると思うが、駐車場対策等についての考えはどうか。
(答弁)
 周辺の土地利用形態を考えると駐車場の拡張は非常に難しいことから、今後は駐車場出口の対策などソフト面での対応を主体に検討していくことになるが、今年度策定する陸上競技場整備基本構想の中でその点についても十分検討したい。

2)17年度災害の被害状況と復旧対策について
(質問)
 今年度の梅雨前線や台風14号による公共土木施設や土砂災害の被害状況と今後の対応はどうか。
(答弁)
 公共土木施設については、県と市町合わせて、9月末現在で、1,185箇所、約84億円の被害額で、過去10年間の平均を28億円上回っている。
 県では出来る限り早い機会に災害査定が受けられるよう国に強く要望し、11月までに査定を実施する予定としており、早期復旧に全力で取り組むこととしている。
 なお、これらの被災した箇所のうち、緊急に復旧を必要とする箇所については、災害査定を待たずに応急工事を実施している。
 土砂災害については、今年度52件発生しており、昨年度の発生件数332件に比べれば、少なくなっている。
 なお、今後の対応としては、鬼北町で発生した土石流2件については、国の補助事業である「災害関連緊急砂防事業」の採択に向け関係機関と協議を進めている。
 また、がけ崩れ災害のうち、人家被害があり早急に対策が必要な箇所については、市町が行う県費補助事業の「がけ崩れ防災対策事業」で実施する。

3)高速道路の南予延伸について
(質問)
 高速道路の南予延伸、特に宇和島道路の状況と今後の見通しはどうか。
(答弁)
 高速道路の南予延伸は県の最重要施策として取り組んでおり、西予宇和から宇和島北間については、新直轄事業で順調に進められている。
 また、宇和島道路の延伸区間として、今年度事業着手が認められた津島町高田から岩松までの3.5kmについて、現在国において地元説明会の準備が進められており、地元関係者の理解と協力が得られ次第、現地測量や設計作業を開始したいと考えている。
 県としては、国が目標としている20年代前半の供用実現に向け、引き続き、関係機関との調整等、積極的な支援、協力に努めるとともに、最南端の愛南町に向けての更なる南予延伸についても、早期事業化が図られるよう、国への要望等を通じ全力で取り組みたい。
(要望)
 高速道路の延伸は南予住民の悲願であり、南予の求人倍率が低いのは、道路整備の遅れが大きく影響している。
 整備促進を図るためにも、今後とも、道路特定財源の堅持について努力をしてもらいたい。

(その他の議論)
 ・県管理河川の河床掘削
 ・ダムの堆積土砂
 ・山鳥坂ダム建設費負担金の還付

6.文教部会長報告 (岡田 志朗 部会長)

1)学校施設の耐震化について
(質問)
 県立学校の耐震診断の現状と今後の耐震化の進め方はどうか。
(答弁)
 昭和56年以前に旧建築基準のもとで建設された校舎などの建物は、今年4月1日現在で328棟あり、そのうち耐震診断を実施しているものは50棟となっている。このため、現在実施している耐震化予備調査を当面年間30棟程度のペースで実施し、その結果、優先度の高いものから整備したいと考えている。
 来年度は予算もさらに厳しいと予想されるが、耐震化の推進を最大の課題として、限られた予算の中で耐震化率をあげるため、耐震補強工事に重点を置き、更にはコスト縮減の工夫などに努め、より多くの校舎の耐震化が進むよう取り組みたい。
(要望)
 校舎の木造化にも配慮すること、また近い将来に発生が確実視されている南海地震による被害が想定されている学校では、高潮・津波に対する防災教育や避難訓練等の充実を図ってほしい。

2)今治養護学校新居浜分校について
(質問)
 新居浜分校の開設時の児童生徒数見込みと本校と分校の就学区分をどのように考えているのか。
(答弁)
 新居浜分校の通学区域は、四国中央市、新居浜市及び旧西条市を考えており、これらの地域において新たに小学校や中学校に入学する子どもたちは基本的には新居浜分校への就学を、現在、小・中学校に就学している子どもたちについても、できるだけ転学を勧めることとしており、関係市教委への照会結果などから小学部と中学部合わせて31名、9学級を見込んでいる。今後、保護者等に対して、新居浜分校の教育環境を十分説明するなどして、円滑な就学が進むよう取り組んでいきたい。
(要望)
 通学などについての保護者の負担や家庭環境から、寄宿舎を利用した今治養護学校本校への就学や、四国中央市の太陽の家分校への就学を希望するケースもあるので、就学先の選択肢はより多くしてほしい。

3)愛媛のスポーツ振興について
(質問)
 今回愛媛FCの所管が企画情報部に移ったが、教育委員会としても、FCを初めとした県民スポーツの振興に積極的に関与してほしいがどうか。
(答弁)
 Jリーグはサッカーを核とした総合型地域スポーツクラブづくりを目指すものでもあり、若者に人気のあるサッカーが、より幅広い年代の多くの県民に親しんでもらえるよう積極的に支援することなどにより、県民スポーツの振興を図りたい。また、陸上競技場の整備については、愛媛国体を見据えた上で、サッカーばかりではなく、他の競技団体の意見も聞きながら、利便性が向上するよう担当部局などとの調整を進めていきたい。

(その他の議論)
 ・生徒数減少に伴う校舎の共同利用
 ・男女混合名簿
 ・学校施設等のアスベスト使用
 ・教育重点施策