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平成19年9月

1.総務企画部会長報告 (明比 昭治 部会長)

1)県議会議員選挙における選挙公報の発行について
(質問)
 県財政が厳しいこの時期に新たに選挙公報を発行することについて、県民の目線から見てどうなのかとの声もある。
 今、発行することとなった理由は何か。
(答弁)
 知事選挙においては選挙公報に加え選挙運動用ビラの頒布も認められるようになったが、県議会議員選挙においてはいずれも認められておらず、候補者の情報を提供する手段に大きな格差が生じている。
 本年4月の県議選においても、選挙管理委員会に対して、なぜ選挙公報を発行しないのかとの県民からの意見が寄せられており、これらの県民の要望に対し、適切に対応し投票率向上に努める必要がある。
 また、全国では47都道府県中、33都道府県が発行済みであるが、本県を含め14県が発行しておらず、それらの県も発行する方向で検討中であることなどから、本県においても発行することとなった。

2)市町への権限移譲について
(質問)
 市町への権限移譲については、かなり進んでおり評価しているところであるが、市町の規模等により温度差がある。どの地域においても同じように利便性と住民サービスの向上が図られるように移譲を進めてほしい。
(答弁)
 市町の規模や財政力等はそれぞれ違っていることから、県と市町の協議の場として、「県・市町権限移譲検討協議会」及びその下に、中核市、市、町別に3つの検討部会を設置し、それぞれの実情に応じた権限移譲を進めることとしている。
 これまでに、県と市町の協議を通じ、基本的な考え方等をまとめた「権限移譲推進指針」と、市町毎の移譲事務や移譲時期等を定めた「権限移譲具体化プログラム」を作成しており、市町側の希望を踏まえ、市町の実情に応じた移譲を進めているところである。
 県としては、「権限移譲具体化プログラム」等に基づき、権限移譲が進むよう、マニュアルの作成や説明会の開催など、全庁が一丸となり、市町の意向を踏まえた取り組みを進めていきたい。

3)団塊世代等の移住・交流促進に向けた取り組みについて
(質問)
 団塊の世代を受け入れるメリットは何か。
(答弁)
 経済効果が挙げられる。民間のシンクタンクの試算によれば、500世帯が移住し、その後30年間生活したと想定すると、1世帯当たり、およそ1.3億円の経済波及効果と約5,000人の雇用創出効果があるとされている。
 さらに、県内各地域で人口減少や少子高齢化が進む中、地域の新たな担い手として、移住希望者の豊かな知識、経験の活用が図られることも期待している。
(要望)
 団塊世代を受け入れることは、高齢化に拍車をかけることになるのではないか。行政として、長期的な視点も考慮し、取り組みを進めてほしい。

(その他の議論)
 ・県職員の採用試験の実施状況
 ・公の施設の見直しのスケジュール
 ・松山―札幌線の廃止及びその対応策
 ・地上デジタル放送の難視聴地域対策

2.環境保健福祉部会長報告 (白石 徹 部会長)

1)製紙工場等によるばい煙測定データの改ざん等について
(質問)
 ばい煙データ改ざんに対する罰則はどうか。
(答弁)
 大気汚染防止法では、基準値超過の場合、罰則やまた、施設の一時停止や改善命令などの行政処分も定められているが、今回の場合は住民の健康や生活環境への被害が生じていないため、可罰性また可処分性が低く、適用できない。
 県としては、何よりも企業のモラルの向上が大事であると考えており、今後機会を捉えて意識啓発をしていきたい。

(質問)
 県衛生環境研究所が、ばい煙の基準値超過の報告を受けながら、対応していなかったことについて、事実関係はどうか。
(答弁)
 県衛生環境研究所では、大気の状況把握の観点からばい煙データの報告を求めているが、個々の施設の汚染物質の濃度を監視する目的ではなかったことなどから、基準値超過に気がつかなかったため、指導や監視につながらなかったことは、残念に思っている。
 この事件をきっかけに県の監督を強化し、大規模事業場からは、毎月報告させるなどの対策をとっていきたい。

2)自殺予防対策について
(質問)
 県内における自殺者の数とその原因についての特徴はどうか、また、医師と行政の連携についての取り組みはどうか。
(答弁)
 県内における自殺者数は、平成16年350人、平成17年371人、平成18年385人となっており、自殺原因の第1位は、近年では、男性は経済的理由、女性は健康問題となっている。
 なお、久万高原町では、町保健師と地元医師が連携し、町内各地域において啓発活動や予防活動を行うなど、自殺対策の先進的な取り組みを行っており、今回、同町を対象としたモデル事業に対する補正予算を計上し、県も取り組みを支援するとともに、その成果を県内に広めていきたい。

3)障害者自立支援法について
(質問)
 障害者自立支援法の見直しの状況はどうか、また、施設経営に対する影響はどうか。
(答弁)
 障害者自立支援法で特に問題となっているのは、利用者の1割の応益負担であると思われ、知事会などの機会を通じ、改善の要望をした結果、特別対策として、軽減措置が図られたところであるが、利用者からは、なお、軽減を望む声があることから、今後も国に対し軽減措置の拡大を要望してまいりたい。
 また、施設や事業所については、運営費が月払いから日払いに変わったことにより収入が減少したが、6月補正予算で予算計上した障害者自立支援法緊急対策事業で、従来の収入の90%の保障や、利用者の送迎サービスヘの助成等を行うこととしており、これらの事業を、丁寧に、着実に実施することにより、障害者自立支援法に対する理解を得たいと考えている。

(その他の議論)
 ・地上系防災通信システムの整備
 ・消防団員の確保
 ・伊方原子力発電所の安全対策
 ・難病対策
 ・コムスンの事業移行の進展状況

3.農林水産部会長報告 (河野 忠康 部会長)

1)県営土地改良事業について
(質問)
 土地改良事業の実施については、事業の位置付けと必要性を十分に精査すべきであると思うがどうか、また、県下のため池の改修事業の実施状況はどうか。
(答弁)
 土地改良事業の実施に当たっては、地元からの要望を受けて、実施地区毎に土地改良事業計画を作成し、費用対効果を検討するとともに、同計画の公告縦覧を行い、一般住民の意見を聞いた上で国の事業採択を受けて実施しているもので、事業内容やその他必要性等について十分精査している。
 また、県では、阪神・淡路大震災を契機にため池の再点検を行い、県下3,340カ所のうち628カ所を要改修と位置付け、計画的に改修することとし、平成18年度までに366カ所の改修を行っており、19年度にも33カ所が改修完了の予定である。

2)県内農協の経営状況について
(質問)
 農林水産省から農協系統金融機関の不良債権の状況が発表されたが、県内農協の経営状況はどうか、また、農協職員による不祥事防止対策について、県も厳しく指導してほしいがどうか。
(答弁)
 県では、毎年、県内12総合農協に対して、組合が健全な運営を行えるよう、財務状況、経理状況及び債権等について常例検査を行っているところであり、農協の経営状況を判断する基準である自己資本比率8%を下回っている農協は皆無であることから、県内農協の財務体質の健全性は、保たれている。
 また、農協職員による不祥事に対しては、県と農協中央会、連合会が合同で「コンプライアンス対策推進委員会」を立ち上げ、指導や研修等を実施してきた結果、不祥事は減少しており、今後とも、不祥事ゼロに向けて引き続き農協を指導して参りたい。

3)有機農業について
(質問)
 「有機農業の推進に関する法律」に基づく県推進計画の検討会を開催したようであるが、その内容はどうか、また、国の20年度概算要求では、有機農業推進のための予算が大幅に増額されたようであるが、県の有機農業推進の取り組みはどうか。
(答弁)
 検討会では、有機農業者や有機農産生協等の関係者の参加を得て、有機農業のマニュアル作り、指導体制の整備、消費者の理解促進、学校給食への食材提供、有機農業者への支援の実施等の意見が出されたところであり、今後、県では、引き続き関係者の意見の把握に努め、環境保全型農業推進会議での検討やパブリックコメントの実施等を経て、県推進計画を策定することとしたい。
 また、有機農業推進に関する国の概算要求では、市町段階で地域振興計画を策定した場合、計画の達成に必要な支援が行われることになっており、県としても、市町段階の取り組みを後押しして参りたい。

(その他の議論)
 ・ブリ疾病防除ワクチン開発研究費
 ・食料自給率向上に向けた取り組み

4.警察経済部会長報告 (本宮 勇 部会長)

1)南予地域の雇用対策について
(質問)
 南予地域における雇用対策の取り組みはどうか。
(答弁)
 県では南予地域の雇用創出に向けて、コールセンターなどの企業誘致をはじめ、フード産業の育成や地域密着型ビジネス等の創業支援、観光まちづくりの推進などに取り組んでいる。こうした中、県が策定した愛媛県南予地域雇用開発計画が10月1日付けで厚生労働大臣の同意を得たことから、南予地域での事業所設置や設備拡大に伴う新規雇用に対して、最大3年間の助成が受けられるなど、優遇措置が講じられることとなった。
 また、西予市が策定した地域雇用創造推進事業が9月20日付けで国に採択され、同市では、農林水産加工業や体験型観光の振興等による雇用創出に取り組むこととしている。
 今後とも、国の雇用対策事業の積極的な導入をはじめ、企業誘致や地元産品の販路開拓などに、市町と連携して取り組んでまいりたい。

2)県立病院における医師確保対策について
(質問)
 県立病院の医師不足の状況や医師の勤務実態はどうか。また、医師不足解消に向けた取り組みはどうか。
(答弁)
 病院経営の最大の問題は医師不足であるが、優秀な医師を安定的に確保することは、病院経営の絶対条件であることから、今まで以上に愛媛大学医学部に強力に要請するなど、医師の確保に努めていきたい。
 また、県立病院医師の1カ月当たりの超過勤務は63.7時間、当直は2.7回となっており、その外にも他病院への診療応援も行っている。特に中央病院では、重篤患者が多いことから、厳しい勤務実態となっているが、院長・事務局長・看護部長会議等を通じ病院現場の状況を把握し、できる限り改善に向けて努力していきたい。

3)交番・駐在所に勤務する警察官の勤務管理について
(質問)
 警視庁の交番に勤務する警察官による殺人事件をとらえ、交番や駐在所に勤務する警察官は、本署から離れた場所で勤務していることから、勤務実態を把握することが難しいと考えるが、本県ではどのように勤務実態を把握しているのか。
(答弁)
 交番や駐在所勤務員の勤務は、警察署の地域課幹部が月間と毎日の計画を作成している。この勤務計画を変更する場合は、その都度、警察署の地域課長に報告させ、署長の承認を受けさせるなど組織的に管理している。
 勤務実態の把握については、警察署や警察本部地域課の幹部が、県内の交番や駐在所を巡回して、計画通りに勤務が行われているか、また、規律が守られているかなどを組織的に確認している。

(その他の議論)
 ・ニート対策
 ・西条工水や今治工水の経営問題
 ・少年非行犯罪の実態
 ・高齢者交通事故対策

5.建設部会長報告 (戒能 潤之介 部会長)

1)建設産業の現状と公共事業予算の確保について
(質問)
 公共事業予算の削減等により、建設業者数が大幅に減るなど、産業として異常な事態になっているが、今後の公共投資の方針はどうか。
(答弁)
 設業は地域における雇用や防災対策の面でも重要な役割を果たしており、地域の安全・安心を支える重要な存在として認識しており、今後とも育成していく必要がある。
 また、感覚的には公共事業費の削減は限界に来ていると考えているが、財政構造改革を成し遂げつつも、長期的には社会資本整備の遅れている本県では、中山間地域の活性化なども含めて、次の世代に安全・安心な県土を引き継げるよう、公共施設の整備や維持管理についてのビジョンを示したい。
(要望)
 財政構造改革はできたが、地方が疲弊し、東南海地震等の災害で大きな被害が発生するなどということにならないよう、必要な公共事業の予算確保に留意してほしい。

2)公営住宅の暴力団排除の取り組みについて
(質問)
 県営住宅では暴力団の排除について条例案が上程されているが、その実効性を上げるためにも、市町営住宅とも連携する必要があると考えるが、今後の具体的な取り組みはどうか。
(答弁)
 市町における条例化については、多くの市町が12月議会で制定予定であり、残りの市町も3月議会で制定する方針と聞いており、今後は県警との情報交換のルールづくりや退去指導など現場における対応のあり方について、県のみならず市町でも同様な取り組みが必要であることから、県と市町で構成する愛媛県地域住宅協議会の場を通じて、県警と連携した取り組みを進めてまいりたい。

3)入札・契約制度の改善について
(質問)
 県の入札制度が大幅に変わっているが、制度改善の効果はどうか。
(答弁)
 一般競争入札の対象を大幅に拡大したことで、落札率が低下傾向にあり、平成15年度の93.1パーセントから本年の8月末現在では87.7パーセントとなっている。しかし、低入札価格調査制度を改正し、調査基準価格を事前公表から事後公表に切り替えたことで低入札が多くなり、その発生率は平成18年度の0.65パーセントから本年8月末現在では2.71パーセントとなっている。

(質問)
 安価で発注することにより、工事の質が低下し、逆に管理コストが高くつくことにならないのか。
(答弁)
 品質の確保は当然である。このため、価格だけではなく技術力を評価する総合評価落札方式を進めるほか、低入札調査において厳格な審査を行い、施工時にも監督頻度を増加させるなど品質の確保を図っている。

(その他の議論)
 ・土木部所管の遊休地の処分状況
 ・しまなみ海道の社会実験
 ・木造戸建て住宅の耐震化
 ・市町管理橋梁の安全性

6.文教部会長報告 (赤松 泰伸 部会長)

1)中学生の不登校について
(質問)
 全国的な不登校の割合は、2.86%と過去最高となったが、本県における状況はどうか。また、その原因と対策はどうか。
(答弁)
 本県の市町立中学校の不登校生徒数は、平成17年度837名、平成18年度858名で、出現率は全国的にみると低いが、やや増加傾向にあり、憂慮している。
 増加の原因は特定できないが、子供たちの対人関係の未熟さ、自己中心性、無気力などが挙げられている。
 各学校では、適応指導教室との連携、家庭訪問等による子供や家庭との関係づくりや、スクールカウンセラーやハートなんでも相談員などを有効に活用している。
 今後とも、子供たちにとって楽しい学校、授業がよくわかる学校づくりに努め、子供たちを集団の中にうまく取り込んでいきたい。

2)学校給食におけるみかんの洗浄について
(質問)
 国の通達により、大半の市町でみかんを3回洗浄していると聞くが、現状はどうか。
(答弁)
 従来5回洗浄が行われていたが、平成17年以降の洗浄回数の簡略化の通知などにより3回まで簡略化が進んだが、それ以上は簡略化がなかなか進んでいないのが現状である。
 この洗浄回数は、学校給食の実施主体である市町で判断できる事項であるが、3回洗浄を国が指導しているとの誤解があり、また、保健所からの安全面の指導との関係で不安があるとの声もあったことから、本年8月、県の食品衛生主管課と連名で、簡略化に積極的に取り組むよう再度通知したところである。今後とも、給食におけるみかんの洗浄回数の簡略化に向け支援をしてまいりたい。

3)県立高校の再編整備について
(質問)
 再編整備に当たっては、入学者が少ないから統合するというばかりでなく、10年先を見通して、地域に残すべき魅力ある学校づくりの方針を示す必要があると思うがどうか。
(答弁)
 県立学校再編整備計画検討委員会において、「魅力ある学校づくりを進めるため、学校ごとに自治体や地域住民を含めた検討委員会を設けるなどして、生徒のニーズに合った学科やコース等の設置について検討を行う」ことが示されており、今後、県教委として、同委員会の最終報告を踏まえ、しっかり検討したい。

(その他の議論)
 ・教育事務所の再編
 ・県教育委員会と市町教育委員会の役割分担
 ・中高一貫教育の成果と課題
 ・免許のない者の教員としての採用
 ・8月に開設したヤングボランティアセンターの状況
 ・国民体育大会の順位や会場地の選定