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平成20年9月

1.総務企画部会長報告 (毛利 修三 部会長)

1)平成19年度決算に係る健全化判断比率及び来年度の予算編成について
(質問)
 今回の健全化判断比率では、本県の財政状況は健全にみえるがどうか。また、来年度の予算編成に対する考え方はどうか。
(答弁)
 今回の比率は問題ないレベルであるが、これをもって現在の県財政が良好とは決して言えない。一般会計では財源対策用基金を投入してやっと黒字決算ができている状況であり、今後も多額の財源不足が見込まれ、基金も枯渇状態に近づいていることから、非常に厳しい状況にあると認識しており、引き続き財政構造改革に取り組んでいかなければならないと考えている。
 来年度の予算編成については、財政状況がいきなり好転することはなく、県税収入の不安定さが増し、地方交付税も抑制基調である中、社会保障関係経費が今後さらに増大し、極めて厳しい状況が見込まれることから、更なる歳出の見直し努力が必要であり、これまで以上に選択と集中を徹底する必要があると考えている。

2)核燃料税について
(質問)
 核燃料税収入のこれまでの実績と今後の見込みはどうか。また、地元へはどのように配分するのか。
(答弁)
 核燃料税は昭和54年1月の創設以来、平成19年度までで約225億円に達しており、最近5年間では、約40億円、年平均で約8億円となっている。
 今後の税額は、使用される核燃料価格の見込額に税率13%を掛けて仮試算しており、向こう5年間で約94億円を見込んでいる。
 また、地元配分については、県が市町の個別事業に補助するのではなく、税収の一部を市町別に一括し、交付金のような形で配分することを想定しており、核燃料税の財政需要及び電源三法交付金の対象地域を参考に今後地元市町と協議しながら、詳細な制度設計を検討していきたい。

3)地上デジタル放送難視聴解消支援事業について
(質問)
 県の補助は、国の補助対象となることを前提としているが、戸数が少なく共聴施設の改修が困難な場合や現在共聴施設が設けられていない場合など、今回の補助制度ではカバーできないケースも出てくるのではないか。
(答弁)
 今回の補助制度は既存施設の改修のみならず新設も対象となっており、国や市町等と連携して可能な限り国及び県の補助制度の活用に努め、デジタル化でテレビが見えなくなることがないよう取り組むほか、暫定的には衛星放送も活用し、対応する。
 また、国が見えるとしている地域の中にも、実際にはテレビが映らない地域が出てくることが予想されることから、10月1日に松山市に設置された総務省四国地域テレビ受信者支援センター等が行う受信状況調査などを活用した上で、地元とも協力してテレビが見えない地域の解消に取り組んでいきたい。

(その他の議論)
 ・育児休業の取得促進
 ・松山空港の国際線・国内線の現況と利用促進への取り組み
 ・ネーミングライツの導入状況

2.環境保健福祉部会長報告 (河野 忠康 部会長)

1)あったか愛媛NPO応援基金について
(質問)
 本年4月に設置された、あったか愛媛NPO応援基金の寄附の受け入れ状況と基金の活用方針はどうか。
(答弁)
 あったか愛媛NPO応援基金は、県民や企業等が寄附を通し、NPO法人の活動を支えることによって社会に貢献する仕組みとして、今年4月に設置したものである。広報誌やホームページ等で周知に努めたところ、現在、団体、個人あわせて10件、233万5千円の寄附の申し出があった。
 基金の活用については、NPO法人の活動内容の妥当性や公益性などについて、外部有識者等で構成する選考委員会で審査し、活動経費について助成することとしている。
 また、基金の一部は、NPO法人の運営能力向上を図るための人材育成セミナー等の開催費用にも活用することとしており、これらの事業を通じて、NPO法人が継続的かつ安定的な活動を行うことができるよう支援していきたい。

2)救急医療の適切な受診定着へ向けた取り組みについて
(質問)
 二次救急医療機関逼迫の一因とされる軽症患者の救急医療の受診実態はどうか。また、今後、救急医療の適切な受診定着へ向けて、どのように取り組んでいくのか。
(答弁)
 平成19年の救急搬送件数自体が54,789人と10年前の約1.4倍に増加しているが、そのうち軽症患者の搬送件数が49.5%と約半数を占めている。
 軽症患者の受診の増加は、医師の疲弊を招き、医療過誤に結びつく危険性も指摘されるなど、救急医療の安全性や信頼に影響を及ぼす重要な問題であるため、県では、「三浦保」愛基金を活用して、愛媛の救急医療を守る県民運動を推進し、適切な受診の定着を図ることとしている。
 具体的には、かかりつけ医や救急時の心がけ等を記載したリーフレットの配布、救急現場の実情等を紹介する地方局単位での講習会の開催、二次救急医療の受診実態調査など、市町や関係団体との連携のもと、救急医療の維持・確保に取り組んでいきたい。

3)ピンクリボンえひめ協議会について
(質問)
 乳がんの予防推進のために、ピンクリボンえひめ協議会が設立されたと聞くが、その設立趣旨及び今後の活動予定はどうか。
(答弁)
 ピンクリボンえひめ協議会は、乳がんに対する正しい知識の普及とがん検診の受診率向上を図るため、保健、医療、福祉関係ほかの55団体を会員として、乳がん啓発のピンクリボンを象徴に、早期発見・早期治療の啓発運動を展開することを目的として、今年7月に設立したものである。
 今後は民間の力も借りて、松山市大街道・銀天街のストリートビジョンによるPR映像の放映、アイテムえひめを会場として各種相談や無料検診などを行うがん予防展、いよてつ高島屋での啓発映画の上映や講演会などを10月中に開催することとしている。
(要望)
 他のがんについても検診受診の向上に取り組んでほしい。

(その他の議論)
 ・地産地消型のバイオマス燃料の導入
 ・県内温室効果ガスの排出状況
 ・人権施策推進基本方針の見直しの方向性
 ・地方独立行政法人制度の医療技術大学への導入の検討

3.農林水産部会長報告 (赤松 泰伸 部会長)

1)鳥獣害防止対策について
(質問)
 本年2月に施行された「鳥獣被害防止特別措置法」の内容と本県での対応状況はどうか。
(答弁)
 特別措置法では、市町が被害防止計画を策定した場合、電気柵等の設置にかかる経費に対して、地方交付税が5割から8割に増額措置されるほか、国補事業が優先採択されるなどのメリットがある。
 現在、今治市、伊予市、伊方町、上島町においては、既に被害防止計画が策定されており、西予市、愛南町では、今年度中に策定を予定しているが、他の市町も計画を策定し、こうしたメリットを活かして欲しい。
(要望)
 鳥獣捕獲に関しては、県から市町へ許可権限が委譲されたが、県も対策が後手に回らないよう被害の実態把握や防止対策に努めてほしい。

2)20年産温州ミカンの生産状況について
(質問)
 今年、ミカンは裏年であり、夏場は水不足の問題もあったが、作柄や品質等の状況はどうか。
(答弁)
 20年産のミカンの収量は着果状況から132,240tと予想されるが、これは昨年の80%で、同じ裏年の18年産と比べると107%である。
 また、品質については、夏の干ばつにより、果実の肥大は小玉傾向であったが、現在は回復傾向にあり、糖度は高く、品質の良かった19年産並と考えている。
 なお、早生ミカンは、昨年に比べ価格は高いものの、裏年としては少し低いスタートとなっており、今後の価格については、生産出荷団体において極早生の出荷を10月で終え、11月からの早生ミカンとの間で明確な区分を行うことが重要であると考えている。

3)愛媛銘柄豚の開発の状況と今後の予定について
(質問)
 畜産研究センターが開発した愛媛銘柄豚について、開発の状況はどうか。また、今後の市販に向けたスケジュール等はどうか。
(答弁)
 畜産研究センターでは、16年度から愛媛銘柄豚の開発に取り組んでおり、これまでに交配試験や専用飼料の開発試験を終了し、あとは現在実施中の農家での実証試験を残しているのみである。
 開発の主眼であった肉の味については、一般消費者に対し、試食などを行った結果、極めて良好な評価を得ているところであり、平成22年の早い時期には一般消費者に提供できる見通しである。
 今後は、流通体制の確立や県内普及を図るため説明会を開催するほか、ホームページ等で愛称を募集するとともに、ブランド化を進めるための協議会を立ち上げ、県内外に向けたPR等、普及活動を行っていきたい。

(その他の議論)
 ・原油高騰対策事業
 ・試験研究機関の再編統合
 ・県内業者による産地偽装の再発防止
 ・第32回全国育樹祭の準備状況

4.経済企業部会長報告 (渡部 浩 部会長)

1)南予地域における雇用の促進について
(質問)
 南予地域には一次産業以外に産業が少なく、企業誘致も難しいが、雇用の現状と対策はどうか。
(答弁)
 理事者から、平成20年8月の有効求人倍率は東予の1.17倍に対して南予では0.52倍と厳しい状況が続いており、農林水産資源や人材を活用した工場・コールセンターなどの誘致に努めているほか、フード産業の育成や農商工連携の促進、町並博の成果を継承した観光まちづくりによる観光産業の振興などに取り組んでいる。
 また、19年10月に「愛媛県南予地域雇用開発計画」について厚生労働大臣の同意を得て、企業が南予地域で雇用拡大を図る場合の支援制度を導入するとともに、これまでに愛南町、宇和島周辺地域、西予市で展開している地域雇用創造推進事業を、本年7月から八幡浜市、大洲市、内子町、伊方町にも導入しており、南予地域全域での雇用創造を図っている。
 今後とも、これらの施策を一体的に進め、南予地域の活性化や雇用情勢の改善に努めたい。

2)しまなみ海道10周年記念事業について
(質問)
 地域の活性化につながるものと、地元では記念事業に対する期待が大きいが、現段階での取組状況はどうか。
(答弁)
 9月4日に愛媛県実行委員会が実施する事業の大枠である実施計画を策定しており、現在、事業の詳細について検討中であるが、10月1日から、現地での活動を行うために、今治支局に実行委員会の今治事務所を開設し、支局職員に加え専属の職員2名を常駐させ、実施体制の強化を図ったところである。
 記念事業は、広域テーマ事業、自主企画支援事業、広報宣伝・誘客事業の3つの柱を掲げ、一時的な集客や一過性のイベントではなく、中長期的な観点から観光・地域振興につなげることができるよう事業を展開することとして準備を進めている。
 具体的には、水軍レースや潮流体験など地元で芽出しができているものへの支援や新たな観光資源の掘り起こしとして、住民団体等が行う自主企画への直接的な補助事業や、既存団体の活動への専門家派遣によるブラッシュアップの実施など、しまなみ地域への継続的な誘客促進につながる仕組みづくりを行っていきたい。

3)県立中央病院のPFI事業について
(質問)
 3グループから応札があったと聞くが、落札者の提案内容のどのような点が優れていたのか。
(答弁)
 全体的な評価としては、県が示している要求水準を随所で上回るなど、非常に積極的な提案内容であったこと。施設面では、非常にシンプルでわかりやすい構造であったこと。運営面では、よく工夫された提案内容であったことに加え、地元企業の活用について、個別の企業名を明示しているなど、具体性もあったことが、高評価につながった。
(要望)
 地元企業の活用が建前論に終わることなく、実質的に地元愛媛が潤うよう、県としてもケアをしてほしい。

(その他の議論)
 ・原油価格高騰等に伴う中小企業対策
 ・労働委員会の事件等取扱状況
 ・西条工水の経営改善
 ・県立三島病院のあり方

5.建設部会長報告 (本宮 勇 部会長)

1)技術力の継承について
(質問)
 建設業界においても、土木技術者が大量に退職しており、技術力の継承が懸念されているが、業界に対する指導育成をどのように考えているのか。
(答弁)
 工事成績が優秀な企業の表彰や、経験者を評価・加点する総合評価方式による入札など技術力や地域貢献度を考慮する発注制度によって、地場産業としての建設業を適切に評価・育成することが技術力の育成につながると考えている。

(質問)
 土木技術の継承には、発注・指導する側の県職員の技術力を育成する必要があると思うがどうか。
(答弁)
 現場での経験や研修によって技術力を育成することが重要であると認識しており、今後とも職員の指導に努めたい。

2)県内業者の活用について
(質問)
 一般土木工事においては、ある程度県内業者に対する配慮があるものの、県内業者の受注比率が低いコンサルタント業務や法面工事についてはどうか。
(答弁)
 建設工事全般について、県内業者でできるものは原則県内業者で、品質確保等の問題で県外業者でしかできないものは県外業者でということを前提としている。
 県としては、できる限り県内業者への発注が望ましいと考えており、今後とも一般土木工事をはじめ、コンサルタント業務等についても配慮していきたい。

3)高速道路の通行料金引下げ等について
(質問)
 本州四国連絡道路を維持するための負担金額はどのくらいで、料金割引社会実験の結果はどうか。また、通行料金の無料化または大幅な値下げを要望してはどうか。
(答弁)
 本州四国連絡道路を維持するため、未確定であるが、今年度以降、県は220億円程度の出資が必要であると言われている。
 社会実験の結果については、昨年11月の公表によると、しまなみ海道では、割引時間帯の通行量が10%前後増加している。また、通行料金の無料化や大幅値下げについては、通行料金収入のみでは建設に係る借入金の償還は困難なため、公的助成として、国や県、市が出資しているが、未償還残高が3兆円程度あり、この費用負担の問題がある。

(その他の議論)
 ・遊休県有地の処分
 ・海の駅の認定状況
 ・道路の維持管理
 ・南予地域における高速道路の整備状況
 ・事業箇所評価

6.文教警察部会長報告 (戒能 潤之介 部会長)

1)指定管理者の指定について
(質問)
 生涯学習センター等4施設の指定管理者の候補者はどのように審査されたのか。また、今後のスケジュールはどうか。
(答弁)
 選定にあたり、公平・公正を確保するため、外部有識者等の委員で構成する「愛媛県生涯学習センター等指定管理者候補予定者選定審査会」を設置して、専門的立場から審査、選定を行うこととし、「適正、確実な管理運営の実施」及び「施設の目的の効果的、効率的な達成」を基本に選定基準を定め、7月に書類審査、8月に面接審査等を行った結果、4施設ともイヨテツケーターサービス(株)の評価が1位であったことから、教育委員会として、4施設それぞれについて総合的に判断し、指定管理者の候補者に決定したものである。
 また、議案が可決されれば、早急に指定管理者と21年度から5年間の包括協定を締結し、指定管理者による運営にスムーズに移行できるよう引継ぎを行い、候補者から提案された運営計画が着実に実行されるよう厳正に指導を行っていきたい。

2)平成20年度全国学力・学習状況調査について
(質問)
 平成20年度全国学力・学習状況調査の結果をどのように受け止めているのか。また、市町の結果の公表についてはどのように考えているのか。
(答弁)
 平成20年度全国学力・学習状況調査については、結果を総合的に分析・考察し、指導改善に生かすことが、何よりも大切であると認識し、現在分析を進めているが、これまでのところ、県内どこでも一定の水準が確保されていることや、決められたことはまじめに取り組むという愛媛の子どもたちの様子が伺えるとともに、活用する力の育成や主体的な学習習慣の確立などに課題があることも明らかになってきたところである。今後は、これらの分析結果をしっかりと踏まえ、知・徳・体のバランスのとれた「生きる力」の育成に取り組んでいきたい。
 また、結果の公表については、国の実施要領に、都道府県教育委員会が個々の市町村名・学校名を明らかにした公表は行わない旨の規定が盛り込まれていることから、公表の判断は各市町にゆだね、県として市町ごとの結果の公表は行わない。

3)国家賠償請求控訴事件の判決について
(質問)
 上告を断念する旨の説明を受けたが、上告理由がないということは、県警の主張が誤っていたのか。また、今回の結果により、県警職員の士気が低下し、治安に悪影響を及ぼすことがあってはならないが、その点はどうか。
(答弁)
 高裁判決は一部県警の主張が認められた部分もあるが、結果として控訴棄却という厳しい判決内容であり大変残念な結果である。高裁判決を不服として最高裁に上告するための理由は、法律上、憲法違反や判例違反等に限られており、事実関係を争うことはできない。県警ではこのような観点で判決文を詳細に検討したが、理由が見出せないことから、上告を断念した。
 また、今回の判決等により職員の士気が低下することがないように努めていくとともに、現場の治安維持に万全を期するよう、今後もより一層、各種警察活動を強力に推進し、県民の安全安心の確保に努める。

(その他の議論)
 ・不登校問題
 ・教員の採用前研修
 ・暴力団対策
 ・高齢者被害防止対策