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平成24年6月

1.総務企画部会長報告 (泉 圭一 部会長)

1)消費税の引き上げに当たっての地方財政への影響について
(質問)
 消費税が10%に上がった場合、社会保障などの支出の増加はどう見込んでいるのか、また地方交付税分はどうなるのか。
(答弁)
 消費税の引き上げ分は社会保障の充実と安定財源の確保に充てることになっているが、現時点では内容が明らかになっておらず、どの程度の支出の増加になるのか不明である。
 また、現在の消費税5%のうち、地方消費税と地方交付税を合計すると消費税の2.18%分が地方に配分されているところであるが、消費税が10%に引き上げられると、3.72%分が地方に配分されることになり、社会保障において地方が果たしている役割に応じた配分が一定程度反映されるものと考えているが、引き続き、地方消費税及び地方交付税などの地方税財源の充実強化を主張してまいりたい。
(要望)
 地方消費税の引き上げの趣旨について、県民によくPRしてほしい旨の要望があり、理事者から、国民、県民に負担を求めるに当たって、行政自らが身を切る努力をするとともに、引き上げ分の税収は、すべて年金、医療、介護及び少子化対策など社会保障に活用されることなどについて、県民の理解が得られるよう、しっかりと周知したい。

2)県職員の採用及び人材育成について
(質問)
 今年度の県職員採用試験上級の競争倍率が高いとの新聞報道があったが、具体的な出願状況等はどうか。また、5つの意識改革をベースとした県職員の人材育成への取り組みの進捗状況ならびに成果はどうか。
(答弁)
 今年度の出願状況は、122人の採用予定に対し、前年度比約20%増の1,452人の申込となり、第1次試験の受験者は1,077人で、平成16年度以来の1,000人を超えたところである。この要因としては、昨年度から東京と大阪に試験会場を設けたこと、就職情報ポータルサイトを活用した情報発信などの広報活動を強化したことや、今年度から即戦力となる人材を確保するため、受験年齢を29歳未満から34歳未満に引き上げたことなどが考えられる。
 また、職員の人材育成については、本年3月、愛媛県人材育成方針を全面的に見直し、5つの意識改革を常にイメージすることで、困難な課題にスピード感を持って前向きに取り組み、結果を追求する実践型職員を今後求められる職員像として位置付け、意識改革の徹底や、研修・実践を通じた政策立案能力の強化などに取り組んでおり、特に意識改革については、知事自ら職員に周知するとともに、愛顔の接遇推進リーダー制度による県民に親しまれる接遇の実践や各職場でのあいさつの徹底に取り組んでいる。

3)新ふるさとづくり総合支援事業について
(質問)
 新ふるさとづくり総合支援事業は昨年度と比べて予算額が半減しているが、これに対する市町の反応はどうかとただしたのであります。
(答弁)
 新ふるさとづくり総合支援事業については、昨年度の行政評価システム外部評価委員会で、予算額の半減など大幅な見直しを求められたため、対象事業の明確化・重点化など、より戦略性のある補助金となるよう制度改正を行い、今年度は8,000万円の予算を計上している。
 市町からは、この事業は地方が主体となり、地域の生の声を生かせるものであるので、事業継続はもちろん、予算規模も拡充してほしいという意見も出ており、県としては、今年度の事業実施状況も見ながら、本事業の今後の在り方を検討していきたい。
(要望)
 各市町が申請する事業は、住民のアイデアがもとになっている。補助金の目的にそぐわない使い方はいけないが、住民の気持ちを大事にし、意欲をそがないよう対応してほしい。

(その他の議論)
 ・職員の特殊勤務手当に関する条例の一部改正
 ・県庁舎の節電対策
 ・行革甲子園
 ・イメージアップキャラクター「みきゃん」を活用した情報発信
 ・地上デジタル放送難視聴解消支援事業
 ・県総合運動公園改修事業
 ・改正離島振興法

2.環境保健福祉部会長報告 (住田 省三 部会長)

1)伊方原発の安全対策について
(質問)
 先月の愛媛経済同友会のアンケート結果をみると、国策としての原発について国がしっかりした方針を出すようにとの声とともに、現実の問題として今のエネルギーをどうするのかという思いを読み取ったが、国の原子力安全委員会が審査をしていないということについて、県はどのような認識か。
(答弁)
 ストレステスト1次評価結果は、原子力安全・保安院が四国電力の評価結果について妥当であると確認した結果が3月末にとりまとめられた。
 その結果を原子力安全委員会が確認することになっているが、3月末に原子力安全委員会及び原子力安全・保安院は新しい規制機関に移行する計画であったため、それ以降は原子力安全委員会は新たな審議は行っていない。原子力安全委員会が組織として存続している中で行うべき確認が行われていないものであり、県としては審査していただくのが自然ではないかと考えている。
(要望)
 原子力安全・保安院の審査が終わったなら原子力安全委員会で審査するのが今の国の運営として大事なことであり、国がやるべきことをしっかりやるように、いろいろなレベルで要望していただきたい。

2)津波対策について
(質問)
 3月31日に南海トラフの巨大地震による震度分布と津波高の想定が発表されたが、17mを超える巨大な津波が発生するとなれば根本的に対策を見直すべきである。また、避難路などの整備について国へ要望する必要もあると思うが、県として今後どう対処するのか。
(答弁)
 南海トラフの巨大地震の発生頻度は極めて低いが、発生すれば広域・甚大な被害をもたらすことから、県としては、このような想定も常に念頭に置いて、住民の生命と財産を守るための対策を進めなければならないと考えている。
 特に、巨大津波に対しては、「減災」の考え方を基本に、津波から「逃げる」対策に取り組む必要がある。
 このため、今年度から避難路整備の補助事業を実施しているほか、昨年度から津波避難訓練を県主催で実施しており、今年度は八幡浜市で実施する予定である。このような事業や訓練を通し、津波から生命を守るという意識を高めていきたい。
 また、国への要望については、県では、従来から「東南海・南海地震対策の推進」について重要施策要望を行ってきており、本年は、新たな法整備も含めて要望したほか、昨年の6月には、甚大な津波被害が想定される県で「9県知事会議」を設立し、国に対して、既に6回の政策提言を行っており、今後もこのような要望を続けていく。

3)放課後児童クラブへの障害児の受入れについて
(質問)
 障害児の放課後児童クラブへの受入れ状況はどうか。また、職員配置はどうなっているのか。
(答弁)
 放課後児童クラブについては、本年5月現在、20市町に228か所が設置され、登録児童数は約9千人となっており、対象となる小学校低学年の約4人に1人が利用している。このうち、障害児の受入れも約5割強のクラブが実施している状況で、受入れに対しては、運営費に加算して補助を行っている。
 また、職員配置については、補助基準上、児童15人に対し指導員1人となっている。

(その他の議論)
 ・温室効果ガスの削減
 ・石鎚山のトイレ整備の検討状況
 ・えひめ結婚支援センターの実績等
 ・軽度・中等度難聴児の補聴器購入支援
 ・任意予防接種の定期接種化に伴う市町の財政負担

3.農林水産部会長報告 (鈴木 俊広 部会長)

1)広域連携型水産研究開発事業について
(質問)
 養殖ヒラメの食中毒対策について、これまでの経緯はどうか。また、ヒラメを出荷する際に、県はどのような検査を行っているのか。
(答弁)
 県では、平成23年1月に水産局内に「愛媛県養殖ヒラメ疾病対策会議」を設置し、「愛媛県クドア疾病対策ガイドライン」を策定するとともに、検査体制を整備したところであるが、新種クドアは生態や感染経路など不明な点が多いことから、国の研究機関、東京大学、大分県と共同して、防除対策技術の研究を行うこととしており、研究費を6月補正予算に計上している。
 また、クドア疾病対策ガイドラインに基づき、昨年度購入した検査機器を活用して、種苗購入時、養殖期間中、出荷前に水産研究センター、同センター魚類検査室、栽培資源研究所の3ヶ所で検査を実施している。

2)農林水産物シンガポール販路開拓事業の取組みについて
(質問)
 農林水産物シンガポール販路開拓事業の内容はどうか、シンガポールへの輸出について、どういった戦略を持っているのか。
(答弁)
 当事業は、2つの事業からなっており、1つは、県が事業実施主体として、かんきつ類輸出専用化粧箱を製作、2つ目は国の輸出拡大サポート事業補助金を活用し、えひめ愛フード推進機構が事業主体となって中晩柑やハマチフィーレ等の水産物のテスト輸出や商談会、トップセールスを行うものである。
 経済発展により購買力が高く、日本食への関心が高いシンガポールは、魅力的なマーケットと考えており、4月の県産食品の試食・商談会においても、柑橘では「デコポン」が好評であったように、現地は糖度が高くて酸味の弱いものが好まれる傾向にあり、こうした消費性向も勘案しながら、「甘平」や「ポンカン」、「せとか」等の中晩柑類のテスト輸出に取組んでいきたい。

3)新規就農者対策について
(質問)
 国が今年度から実施する青年就農給付金制度について、本県でも予定を上回る要望が上がっていると聞くが、県はどう対応するのか、また、給付後の動向をどう把握するのか。
(答弁)
 今回の給付金制度は国の平成24年度重点施策として全額国費で実施していく制度であり、国が責任を持って予算を確保するよう強く働きかけるとともに、現在要望が上がっている約200人については、市町を通じ要件を満たしているか精査しているところである。
 給付後の動向把握については、国の制度運営において、計画的に確認を行うことになっている。
 準備型は給付後1年以内の就農や給付期間の1.5倍の就農期間が必要であるほか、経営開始型は農地の集積を担いながら5年間の継続的な就農が求められる予定であり、市町を通じて給付後の動向をしっかり確認し、新規就農者の確保定着を図り、地域農業の活性化につなげていきたい。

(その他の議論)
 ・魚食の普及
 ・下落する木材価格への対応
 ・葉たばこ廃作関連緊急対策事業
 ・本年産温州みかんの生産状況

4.経済企業部会長報告 (黒川 洋介 部会長)

1)東アジアへの県産品輸出促進について
(質問)
 東アジアへの県産品の輸出促進についてどのように取り組んでいくのか。
(答弁)
 地域商社事業の対象地域として購買力の大きい香港、シンガポール、台湾、タイの4箇所のほか、以前から四国4県の連携事業で取り組んでいる上海を合わせた計5箇所をターゲットに事業展開をしている。このうちシンガポールについては、今年4月に知事も渡航し、一流レストランにおいて、バイヤー100名あまりと試食・商談会を行い、大変好評であり、5月には成約第1弾として約250万円分の商品を輸出したところである。今回の手応えを踏まえ、農林水産部とも連携し、営業推進本部が一体となって次の手を打っていこうと考えており、11月にシンガポールで開催される見本市「Oishii(おいしい) JAPAN(じゃぱん)」へ香川県と一緒に出展することを計画している。

2)電力需給について
(質問)
 原発は必要だというが、本当に供給力は不足しているのか、きちんとした数字の精査が必要だと思う。県は供給力をどのように把握しているのか。
(答弁)
 今年の夏の電力需給見通しについては、虚偽報告に対して罰則規定もある電気事業法に基づき国が電力会社に提出を求めた供給力をベースに、今回初めて設置した第三者の専門家等で構成する電力需給検証委員会で議論し、精査・検証されたものと聞いている。県には国のような権限はないが、県民や議会に説明するため、四国電力や国に対し、できる限りの資料提供と説明を強く要請してきた。
 なお、県においても最大電力量で12%超の節電に取り組んでいる。

3)再生可能エネルギーについて
(質問)
 現段階では原子力発電を頼りにしながら、将来的には再生可能エネルギーに切り替えていくべきだというのが、大半の意見であると思うが、7月1日から導入された「再生可能エネルギー固定価格買取制度」を活用した新たな発電プランを公営企業管理局として何か持っているのか。また、かつて佐田岬半島の三机で潮力発電が話題となったこともあったが、潮力発電はどうか。
(答弁)
 面河ダムの水を工業用水として引き込んでいる松山発電工水管理事務所において、約50mの落差があるので、ここに水車をつければ、概算で出力390kWの発電ができると考えている。
 また、海洋エネルギーを利用した発電については、潮の干満を利用するものや潮流を利用するものなどがあるが、今後、この分野の研究が進み、成果が得られれば、局として行えるか検討していきたい。
(要望)
 再生可能エネルギーの開発にかかる研究等の機関を、是非立ち上げてもらいたい。

(その他の議論)
 ・炭素繊維関連産業創出事業
 ・営業戦略監の活動状況
 ・病院事業会計貸付金
 ・医療安全対策
 ・県立南宇和病院の医師不足

5.建設部会長報告 (高山 康人 部会長)

1)しまなみサイクリングロ―ドについて
(質問)
 しまなみ海道でのサイクリングについては、安全で快適かつ、サイクリングの聖地として誇れる自転車道の整備が必要と考えるがどうか。
 また、本州四国連絡高速道路会社が、ゴールデンウィークと5月の週末に実施したしまなみ海道の自転車通行料無料化実験の結果とその評価についてはどうか。
(答弁)
 観光客受け入れのためには、周辺の環境整備が重要であることから、県では、安全確保のため、しまなみ海道沿線全ての県管理道路の総点検を実施した。
 そのうち、事故等の恐れが高い42箇所については既定予算で補修し、残る88箇所についても、できるだけ早期に補修等を行いたい。
 また、過去の同時期のデータがないため客観的な比較はできないが、24年4月末の自転車の通行量は22年度に比べ約1.6倍に増加するとともに、ゴールデンウィーク中のレンタサイクル利用者も昨年度に比べ約1割増加している。
 今後は、住民の利便性の向上や観光振興のためにも、広島県とも連携し、恒久的な無料化を目指して、国等へ要望したい。

2)松山外環状道路の事業進捗状況について
(質問)
 松山外環状道路の事業進捗状況と供用の見通しはどうか。
(答弁)
 松山外環状道路については、国道33号から国道56号間のインター線4.8kmについては、用地取得率は約99.5%で、用地未買収区間を除くほぼ全区間で工事に着手している。
 供用の見通しは、国が事業主体となる自動車専用道路部は、25年度から28年度にかけて順次供用開始の予定である。
 また、国道56号から松山空港までの空港線3.8kmについては、昨年度から用地買収に着手し、現在の用地取得率は約5%である。引き続き用地買収の推進に努めており、26年度までに主要地方道伊予松山港線までの買収を概ね完了させる予定である。
 29年開催の愛媛国体までに完成供用が難しいとしても、松山ICと松山空港間の円滑な交通の確保が図れるよう、工夫を凝らしながら事業推進に努める。

3)予算の適切な執行について
(質問)
 景気回復せず、国民の所得が下がっているとの新聞報道もあるが、地域経済の活性化には公共事業が果たす役割は大きい。
 そのためには、予算を早期に執行することが大切であるが、24年度の予算の執行状況はどうか。
(答弁)
 今年度の執行予算額は、繰越分と現年分を合わせて約580億円程度である。予算の早期執行のため、防災・減災対策事業の早期発注に努めるとともに、上半期においては全体の約8割に当たる約450億円の予算執行を目標としている。
 また、6月末現在の発注実績は、繰越分と現年分の合計で約206億円であり、執行率は約36%である。

(その他の議論)
 ・土砂災害対策
 ・県有施設の耐震化
 ・建設分野における停電時の対策

6.文教警察部会長報告 (徳永 繁樹 部会長)

1)通学路の安全点検について
(質問)
 県教育委員会では、関係機関と連携した通学路の安全点検の調査を行うよう市町教育委員会に指示したと聞いているが、取りまとめの状況はどうか。また、既に報道されている松山市の点検結果をどのように認識しているか。
(答弁)
 通学路の安全点検の調査は、5月末に国から通知があり、8月中に調査を完了し、9月はじめに各市町教育委員会から調査結果が報告される予定であり、現時点ではとりまとめていない。独自に調査を行った松山市の調査結果によると、学校や地域では対応不可能とされた通学路の危険箇所が185箇所もあり、少なくない箇所数であると考えている。なお、松山市では、通学路以外のため池や防犯灯などについても調査しており、危険箇所は合計で1,151箇所となっている。
 今後、他の市町の調査結果も含めれば、県内で相当数の危険箇所があるものと思われ、由々しき事態と考えている。一義的には市町教育委員会の対応となるが、県としても警察や道路管理者と連携し、適切に対応していきたい。

2)交番・駐在所の統廃合について
(質問)
 平成17年度から3年間で行った交番・駐在所の再編実施状況はどうか。また、過去の再編実施後の検証結果はどうか。
(答弁)
 県警では、平成17年度から19年度までの3年間に「空き交番」の解消を目的に、14警察署管内で、交番については58箇所を計51箇所に統合又は駐在所等へ転換するとともに、駐在所についても182箇所を163箇所に統合し、交番から駐在所への転換で3箇所を増加するという再編を実施している。
 また、過去に再編した26箇所の交番・駐在所の管轄について、再編前の平成15年と再編後の平成22年を比較した場合、刑法犯認知件数、交通事故発生件数とも県下全体の平均以上に減少しており、指数面での治安の悪化は認められないと受け止めている。
(要望)
 過疎地の住民は駐在所を家族の一員と考えていることを念頭において地域の絆を保つことができるよう努めてほしい。

3)防犯カメラの整備について
(質問)
 防犯カメラはオウム真理教の高橋容疑者の検挙等に相当効果があったと考えるが、県内の防犯カメラ設置状況はどうか。
(答弁)
 本県ではこれまでに、商店街、駅周辺等に約2,000箇所、1万2,000台の防犯カメラが設置されている。
 昨年度は、地区防犯協会を事業主体とした街頭防犯カメラの設置事業が進められたほか、事業者の方々の御協力などにより200台近く増設された。また、警察においても繁華街に8台、子ども女性見守り防犯カメラとして、松山市内の石井地区と余土地区の公園や小学校周辺などに25台設置したところである。犯罪発生時には、防犯カメラの映像を効果的に活用し、犯人の早期検挙に努めたいと考えており、今後は防犯カメラの自主設置を促進させるとともに、重要度、緊急性を勘案しながら警察においても交付金等を活用するなど、設置を検討していきたい。

(その他の議論)
 ・近代化遺産の保護に向けた取組み
 ・県立学校の学校林の状況及び管理
 ・学校における防災対策
 ・本県における薬物対策