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平成16年12月

1.総務企画部会長報告 (竹田 部会長)

1)本県の予算編成における基本的な考え方と財政状況について
(質問)
 財政状況が厳しい中、平成17年度当初予算における基本的な考え方はどうか、また全国的に見て本県の財政状況はどのくらいの位置にあるのか。
(答弁)
 当初予算編成方針において、3年連続となる厳しいシーリングを設定し、限られた財源で施策の達成を図るため各部局長において経費の配分を直すこととし、全庁的な事業の選択と集中を図ることを目的に、知事による最重要事業に係る事前調整システムを設け、順位付けを行うこととしている。
 また、本県の財政状況は、指標でみると、経常収支比率、起債制限比率などは全国で2番目から3番目に位置し、トップクラスである。ただ、全国的には公債費の伸びは落ち着いているが、本県は毎年約60億円増え続けており、基金も枯渇している状況で、急激な変動に対応できない脆弱な財政構造となっていることから、厳しい財政状況にある。
(要望)
 国の三位一体改革が進展し時代が大きく変わっている中、産業の育成、人材の確保など将来を見据えたシステムを早く構築することが重要であり、愛媛県の将来はどうあるべきか、しっかり考えてほしい。

2)県有財産の大規模な処分について
(質問)
 知事公舎、萱町の職員住宅等県有財産の売却を開始するとしているが、具体的な売却の見込みはどうか。
(答弁)
 財源対策として県有財産の大規模な売却を開始するもので、知事公舎や築30年以上の職員住宅などを候補と考えており、他に遊休県有地の処分対象が32箇所ある。
 この32箇所については、引き合いが多い物件から、境界確定や測量等を行い、その後一般競争入札あるいは随意契約により売却する。

3)警察捜査報償費の特別監査について
(質問)
 平成13年度警察捜査報償費を対象とした知事の要求による特別監査の実施状況と今後の予定はどうか。
(答弁)
 職員による監査は、11月末までに、警察本部、県下全19警察署の書類調査を実施している。委員による監査は、11月2日の警察本部については延期したが、11月26日に大洲署で実施しており、今後は、スケジュールを調整しながら、残る18警察署と警察本部の委員監査を実施する。

(その他の議論)
 ・三位一体改革に伴う権限移譲
 ・市町村合併
 ・森林環境税
 ・松山空港の運用時間延長
 ・プロ野球球団の誘致

2.環境保健福祉部会長報告 (田中 部会長)

1)架空請求の現状と対策について
(質問)
 最近、県内でも架空請求による被害が広がっているのではないかと思うが、現状はどうか。また、どのような対策を考えているのか。
(答弁)
 県の消費生活相談窓口に寄せられた架空請求に関する苦情相談件数と相談全体に占める割合は、平成15年度が4,159件で49.5%、平成16年度は10月末までに3,656件で54.8%となっており、件数、割合とも増加している。また、被害の状況については、本年1月から10月の間で相談があったもののうち、148件、7,978万円の被害があった。
 窓口での相談に当たっては、身に覚えのないものは一切支払わないこと、こちらから連絡をせず無視すること、請求者の名称に惑わされないこと、悪質な場合は警察に相談すること、裁判所からの通知と思われる文書が届いた場合には相談することなどの指導を行っている。
 また、県としては、金融機関に対する口座番号等の情報提供、えひめのくらしと物価への掲載、ホームページでの架空請求文書の閲覧コーナーの設置、消費者アドバイザーによる地域住民への啓発、市町村広報誌への原稿提供、悪徳商法追放地区協議会を通じた市町村・警察・各種団体との連携などにより被害拡大の防止に努めている。

2)フィブリノゲン製剤納入医療機関公表に係る対応について
(質問)
 C型肝炎の原因とされるフィブリノゲン製剤の納入医療機関公表により、相談、検査の状況はどうか。また、検査の結果、医療機関の受診が必要となった場合の対応はどうなっているのか。
(答弁)
 相談件数は12月10日から13日までの間で県が1,142件、松山市で383件あり、合計1,525件である。
 また、検査件数は、県の保健所が13日だけで87件、松山市が12日に80件あり、合計167件となっている。検査の結果、医療機関の受診が必要となった場合は、本人の希望する医療機関で受診・治療を受けることになるが、県ではC型肝炎の精密検査や治療ができる医療機関についてリストアップしており、パンフレット等を作成して市町村や医療機関等に配布するなど周知している。

3)災害ボランティアへの支援について
(質問)
 今回のような大規模な災害の場合、ボランティアに対して県が中心となった広域的な支援体制をつくっていく必要があるのではないかと思うが、今後の県の取り組みはどうか。
(答弁)
 今回の災害での反省点は人とお金と情報であった。その中で、人については、コーディネーター養成の推進、市町村や四国内、中四国間での支援体制づくり、あるいは団体等で組織したネットワーク会議等について検討してまいりたい。
 また、情報については、行政とボランティアで密な情報の伝達ができるような連携を図ってまいりたい。お金については、特にボランティア活動に対する初期経費を確保するため、他県の例も参考にしながらファンドなどの研究に取り組んでまいりたい。

(その他の議論)
 ・被災者生活再建緊急支援事業
 ・地域防災計画の見直し
 ・危機管理室が所管する危機事案
 ・児童虐待件数の推移と県の対応
 ・三位一体改革による保育施策への影響

3.農林水産部会長報告 (岡田 部会長)

1)農業災害対策推進班について
(質問)
 一連の台風により農業は大きな被害を受けた。県では農業災害対策推進班を庁内に設置しているが、今後、どのような支援を行っていくのか。
(答弁)
 農業災害対策推進班については、県段階と地方段階にそれぞれ設置するとともに、生産基盤、生産技術、経営・資金対策の3つのプロジェクトチームを立ち上げている。
 これまでの農家の声を取りまとめたところでは、農地・農業用施設の現状回復や、潮風害防止に関する支援、被災後の樹勢、草勢回復や病害虫防除などの技術指導を求めるなどの要望があった。
 今後はこれら各農家の声をもとに、災害に強い農業と産地の復興に取り組んで参りたい。
(要望)
 農家や団体の声をよく聞いて、しっかりとした対応をしてほしい。

2)山地災害の状況について
(質問)
 本年は異常に災害が多かったが、その多くが山に起因している。山地災害はスギ林で多発していると聞くがどうか。また人工林で放任しているところは根が張っておらず弱いと聞くがどうか。
(答弁)
 森林では降水が土壌中に浸透して水を貯え、土砂の崩壊を防止する機能があるが、今回の一連の台風では、森林の貯水能力をはるかに超える大雨で災害が起こったものである。
 台風15号による新居浜市の災害については、マツクイムシの被害を受けた後の天然林の多くが被害を受けており、一概にスギに被害が多いとは言えない。
 また、人工林は間伐をすると根が張り、根の緊縛力が強くなり、土砂災害にも強くなることから、スギをはじめ人工林を適正に管理していかなければならない。
(要望)
 今年の災害は温暖化現象が1つの原因ではないかとも言われており、今後も災害は発生するものとして、対応してほしい。

3)流木対策について
(質問)
 一連の台風により瀬戸内海に大量の流木が流れ出て、船舶の航行や、漁業に支障が出ていると聞いているが、この流木に対してはどのような対策を講じているのか。
(答弁)
 9月29日の台風21号に伴う豪雨により、大量の流木が、四国中央市から今治市にかけて漂着している。
 港湾区域では、港湾管理者が流木の処理に努めているが、共同漁業権海域においては漁業の操業に被害があるため、漁業者が流木の処理をしている。
 この流木対策については、四国中央市、新居浜市、今治市から要望があり、県としては河川流出物等回収除去事業で対応していきたい。
(要望)
 船体の破損や集めた流木の処理などが零細漁民の重荷となっているため、漁業者や関係市の要請に十分対応してほしい。

(その他の議論)
 ・光センサー選果機問題
 ・森林環境保全基金
 ・風倒木の状況と復旧対策
 ・漁協の合併
 ・漁港内における安全対策

4.警察経済部会長報告 (寺井 部会長)

1)愛媛県若年者就職支援センター、愛workについて
(質問)
 愛workの利用状況はどうか。
(答弁)
 オープンの7月16日から11月末までの間に、1,202名の若者が利用者登録している。これまでに、延べ1万5195名、1日平均約165名の利用となっているほか、このうち221名が就職決定につながっており、おおむね順調に推移している。
 また、現在愛workは、平日の午前8時半から午後5時までの開所となっているが、利用者のニーズに応えるため、来年1月から、土曜日も午前10時から午後6時まで開所するほか、平日についても開所時間を午後7時まで延長することとしている。
 今後とも、利用者の視点に立った愛workの運営に努め、若年者の雇用環境の改善を図っていきたい。

2)県立病院の災害対策について
(質問)
 災害時における県立病院の対策はどうか。
(答弁)
 県立6病院では、平成7年の阪神・淡路大震災を契機に、同年6月に職員の非常招集、施設・設備の点検、患者の避難誘導など病院内の体制整備と医療救護班の編成、出動体制などの医療救護体制の整備の2つを柱とした県立病院防災計画を策定しているほか、震災以外の災害についても、災害対策マニュアル等を策定し、災害時における病院機能の確保を図っている。
 また、施設面については、昭和56年の建築基準法改正前に建設された中央病院と新居浜病院については、耐震診断を行い、平成9年度に必要な耐震改修工事を終わらせるとともに、平成13年度には、新居浜病院敷地内に災害時にも活用可能なヘリポートの整備を行うなど、必要な機能の確保に努めている。

3)警察署の統合について
(質問)
 警察署の再編整備の問題については、地元住民からの反対の声が強いと聞いている。駐在所の充実を目玉として掲げているが、地元では、3年から5年で更に再編し、駐在所を半減させるのではないかとの声もある。警察署が大型交番に替わることはかなりの不安を伴うことから、統合される地域でこれ以上不安をもたらすことのないよう、安全で安心に生活できる環境づくりを願いたいがどうか。
(答弁)
 警察署がなくなることに対する不安の声があることは十分承知している。県警としては治安水準を向上させるために統合を行うこととしており、これらの声を踏まえ、統合される地域の十分な安全確保など地域エリアの不安感をなくし、目に見える効果のある警察活動を行うべく、しっかり指導・督励していきたい。

4)捜査費問題について
(質問)
 県警は監査委員の監査に対して開示していない。
 実効ある監査をするためには、監査委員としても実体を知って判断すべきである。実体をそのまま見てもらうことが県警の立場ではないか。
(答弁)
 県警としては当初から情報公開しないという姿勢ではなく、できる限り開示していくというスタンスで臨んでいる。ただ、協力者保護と監査手法との絡みでいろいろ議論がある。基本的には開示できる部分を増やし、その上で、捜査幹部等から具体的に説明し、それによって監査委員に捜査費の執行実体を理解してもらえるよう、誠心誠意協力していきたい。
(要望)
 県民に納得してもらえる方法は、特別監査以外にはない。この問題がいつまでも続くことは県民の不幸せである。県警がどう取り組むのか、このことに知恵を絞って努力してもらいたい。

(その他の議論)
 ・南予地域の企業撤退
 ・県内の経済情勢
 ・公営企業管理局職員の配置
 ・県立北宇和病院の廃止問題
 ・光センサー選果機問題

5.建設部会長報告 (猪野 部会長)

1)土砂災害対策について
(質問)
 一連の台風等は、県内各地で多くの土砂災害をもたらしたが、今後、その対策をどのように進めていく考えなのか。
(答弁)
 今年度においては、災害関連緊急砂防事業等で対応するとともに、来年度以降は、特に被害の大きかった東予東部において、砂防激甚災害対策特別緊急事業を実施するなど、本格的な施設整備に取り組んでいきたい。
(関連質問)
 また、土砂で一杯になった砂防堰堤においては、その堆積土砂を除去する必要があるのではないか。
(答弁)
 砂防堰堤は堆積土砂で満杯の状態になっても、河岸の侵食を防ぎ、河床の勾配を緩くすることにより、土砂流出を抑制する効果がある。しかし、特に人家に近く、勾配が急な所については、その堆積状況を調査して、計画的に除去することにしたい。

2)土木部出先機関の再編等について
(質問)
 地方局の再編に伴って、住民に最も身近な機関である土木部の出先機関のあり方を、どのように考えているのか。
(答弁)
 来年度は伊予、丹原土木事務所を、各地方局建設部に統合するとともに、建設部・土木事務所の内部組織を、これまでの地域割から業務割にする予定である。
 また、平成20年度から、5地方局から3地方局になる予定であるが、現地即決、地域密着、住民サービスの向上を念頭においた新しい市町体制にふさわしい土木部出先5機関の組織のあり方を検討していきたい。

3)大洲市における河川改修について
(質問)
 台風16号の豪雨により、大規模な浸水被害をもたらした大洲市を流れる河川の改修の見通しはどうか。
(答弁)
 久米川が流れる阿蔵、西大洲地区においては、国に災害復旧助成事業による改良復旧の申請をしており、その事業概要は、喜行橋から上流約1,600メートル区間の築堤、河道の拡幅等の改築であり、整備は肱川本川の上下流バランスに配慮して行うこととしている。
 また、肱川が流れる菅田地区においては、平成12年度に補助事業として国の採択を受け、測量設計を進めており、本年5月に策定された肱川水系河川整備計画に基づき、本年度中に、用地測量を行い用地買収に着手したいと考えている。堤防整備に当たっては、その一部を、高さを低くした暫定的な堤防とし、下流に影響が出ないように配慮することにしたい。

(その他の議論)
 ・消火栓標識における不法広告
 ・今治新都市計画の今後の見通し
 ・岩松川のアオサ問題

6.文教部会長報告 (薬師寺 部会長)

1)市町村合併に伴う県及び市町村教育委員会の在り方について
(質問)
 市町村合併に伴う、教育事務所の整理統合についての基本的な考えはどうか。
(答弁)
 教育事務所についても、基本的には地方局の統廃合と並行して検討していきたい。
 なお、現在、中央教育審議会において、地方分権時代における教育委員会の在り方が検討されていることも踏まえて、県と市町村の教育委員会の役割分担についても、十分配慮して進めたい。
(要望)
 市町村合併後においては、県は市町村を指導するのではなく、支援・助言を行う関係になるべきであり、教育事務所についてもそのような姿勢で在り方を検討して欲しい。

2)教育関係予算について
(質問)
 三位一体改革による教育関係予算への影響はどうか
(答弁)
 義務教育費国庫負担金は、平成17年度には4,250億円が減額され、それに見合う額が税源移譲予定特例交付金として措置されることとされているが、現時点では、配分方法等が未定であり、所要額が確保されるかどうかについては、今後の推移を注視する必要がある。
 また、その他の国庫補助金については、その詳細が、まだ、明らかとなっていない状況にある。
(関連質問)
 厳しい財政状況のもとで、政策経費も限られる中、平成16年度は事業の選択と集中、スタンダード枠の活用などを行ったが、来年度予算編成は、どのようなテーマで取り組むのか。
(答弁)
 来年度予算についても、基本的には、今年度と同様であるが、特に、校舎の耐震化の推進、教員の資質・能力の向上、スポーツ立県の実現などを重点化して、予算要求していきたい。

3)指導力不足教員について
(質問)
 県教委が指導力不足等教員を1校1名以上報告するよう求めた経過及び考え方はどうか。
 また、何を反省し、どう対応するのか。
(答弁)
 指導力不足教員の認定は、校長が指導力等に問題があると判断した教員に対して告知することからスタートするが、制度発足後1年であり、この告知の判断が難しく、とまどいもみられるので、全県の状況を比較検討し、公平な基準で対象者を絞り込み、各校長に適切に助言したいと考えて行ったものである。
 ことさら、指導力不足教員を多くつくろうとする考えはないが、1校1名以上の報告を求めた点は、画一的すぎたので見直すこととしたい。
(要望)
 画一的な取扱いに反省を求める意見のほか、一部の委員から、学校現場からはなかなか報告しにくい現状もあると思う。法律で処分する前に指導力等が足りない教員に対して、研修をしっかり行い現場に復帰させるこの制度は望ましいことであり、今後とも、萎縮することなく、制度の運用を図ってもらいたい。
(答弁)
 指導力不足等教員の一番の被害者は子どもたちであり、県教委としては、子どもたちを守る視点で、公正を第一として粛々と運用していきたい。

(その他の議論)
 ・学校給食の在り方
 ・学力低下問題
 ・登下校時の子供の安全確保
 ・学校におけるセクハラ対策