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平成18年9月

1.総務企画部会長報告 (白石 徹 部会長)

1)資源循環促進税について
(質問)
 資源循環促進税の導入までのスケジュールと税収の見込みはどうか。
(答弁)
 資源循環促進税については、本議会で可決された後、総務大臣の同意を得て、平成19年4月からの施行を想定している。総務大臣の同意については、協議書の提出後、3ヶ月程度を要するとされており、その間に並行して、条例施行規則を制定するなど円滑に新税が導入できるよう諸準備を進めることとしている。
 また、条例公布後できるだけ早い機会に、排出事業者や産業廃棄物処理業者を対象に各地区ごとに説明会を開催し、税制度について十分周知するとともに、県の広報紙等を活用し、税導入の趣旨や税の内容を県民に幅広く理解してもらうよう広報に努めたい。
 また、税収見込みについては、県の廃棄物処理計画による埋立見込数を前提にして、導入初年度と2年目は3分の1に減額するため約1億円、3年目は3分の2に減額するため約2億円、これ以降毎年度約3億円程度と見込んでいるが、一方で税導入に伴う抑制効果によって、この見込みより減少することもあり得る。

2)市町の財政状況について
(質問)
 夕張市の財政破綻の原因は何か。また、本県市町の状況はどうか。
(答弁)
 北海道庁が発表した夕張市の財政運営に関する調査結果によると、一時借入金を年度をまたがって会計間で融通し合う不適切な手法が平成13年度から確認されており、実質的な債務額が累積し、一時借入金が275億円、長期借入金が205億円にまで膨らんだということである。
 こういったことで、地方自治全体の不信をもたらすことになれば、非常に憂慮すべきことだと思うが、本県の場合、調査したところ問題はなかったものの、これを他山の石として、今後とも適正な財政運営に留意するよう必要な助言をしたい。

3)地上デジタル放送について
(質問)
 本県における地上デジタル放送の開始状況はどうか。
(答弁)
 現在、放送事業者が、地上デジタル放送に向けた周波数の変更対策や中継局の整備を計画的に実施しており、完了したところから順次放送が開始されることとなる。
 10月1日には松山地区で開始され、約24万世帯が視聴可能となっている。2007年には、川之江、新居浜、宇和島地区においてNHKと民放4局のデジタル放送が開始され、アナログ放送が終了する2011年7月までに100%カバーされる見通しである。
 県としては、受信施設の整備改修や受信に伴う負担の軽減等について国や放送事業者等へ要望しながら、デジタル化への円滑な移行に努めたい。

(その他の議論)
 ・県有財産の売却状況
 ・県職員の健康管理
 ・伊予鉄道高浜線の延伸
 ・南予地域の活性化
 ・道州制

2.環境保健福祉部会長報告 (渡部 浩 部会長)

1)原発の新耐震指針について
(質問)
 9月19日に耐震指針が改定されたが、新旧の変更点、四国電力の対応策、また県としてどのように指導監督するのか。
(答弁)
 主な変更点としては、直下型地震はこれまで、一律にM6.5で評価していたものを個々の発電所ごとに決定することとなったこと、震源が敷地に近い場合は、断層モデルを用いた手法を重視することとしたこと、評価する活断層を5万年前以降に活動していたものから13万年前以降までに拡大したこと等である。
 四国電力では、新指針に基づき、必要に応じて地質等の追加調査を行った上で、設備等の再評価を実施することとなるが、指針に基づく具体的な評価の規定が審議中のため、再評価が終了するのは19年度中期以降の見通しとなる。
 県としては、再評価の結果は、伊方発電所環境安全管理委員会において、国や四国電力から説明を求めるなど、安全性の確認を第1に適切に対応していきたい。

2)伊方3号機のプルサーマル計画について
(質問)
 プルサーマル計画の安全性は確保されているのか。
(答弁)
 伊方3号機にプルサーマルを導入しても、燃料の健全性、原子炉の制御性、設備の健全性などの安全余裕は十分に確認されており、その他、様々な安全審査項目が確認された上で、国の原子炉設置変更許可があったものである。
また、県としても、環境安全管理委員会技術専門部会において、国の安全審査結果は妥当であり、安全性は確保できるとの意見が取りまとめられており、安全性は確保されていると考えている。
(質問)
 安全性が確保されたことを大前提に、プルサーマルの必要性についての見解はどうか。
(答弁)
 化石燃料がなくなってくるという状況下で、エネルギーの安定確保の観点から、原子力発電は必要であり、資源の使える部分は使うという有効利用の観点から、プルサーマルを推進していく必要がある。

3)医師不足対策について
(質問)
 全国的に医師不足が問題となっているが、本県での現状と対策はどうか。
(答弁)
 人口10万人対比の医師数が全国で201.0人に対して、本県では223.9人と比較的良好な状況であり、全国的に不足傾向にある小児科、産科についても、ほぼ全国並みの水準である。
 しかし、地域的な医師不足の問題もあり、医師確保に向けて、愛媛大学医学部における地域枠の設定や小児科、産科医師を希望する医師が増える条件整備を行うよう国への働きかけを行うほか、今後は第一線を退き、地域で勤務する意向のある医師を登録するドクターバンクのような制度の愛媛県版を創設できないか検討していきたい。

(その他の議論)
 ・国民保護図上訓練
 ・認定こども園の認定基準
 ・不妊治療対策
 ・がん対策

3.農林水産部会長報告 (猪野 武典 部会長)

1)南予漁業の振興について
(質問)
 高知県との入漁交渉について進捗状況はどうか、また、沖合底びき網漁業の効率的漁法への転換はどうか。
(答弁)
 高知県との入漁交渉については、9月11日に土予連合海区漁業調整委員会の両県委員と行政が出席し、組織委員会が開催された。今後、直ちに協定に結びつけるのは難しいが、入漁協定の締結に向けて、できる限りの努力をしていきたい、また沖合底びき網漁業における網口開口板の使用については、県としても地元の要望に沿えるように努力しているが、国や他県との漁業調整上の問題が解決しない限り難しい状況にある。

2)みかん対策について
(質問)
 国の新しい経営支援対策を踏まえ、今後のみかん対策にどう取り組んでいくのか。
(答弁)
 みかん対策の中心となる国の施策については、急傾斜地が多いなどの地域特性に配慮した支援メニューや、農家所得対策につながる需給調整時の価格補填などについて、6月に知事要望を行ったところである。
 8月の概算要求内容では、生産者が望んでいるネット施設やモノレール等は厳しい見通しとなっており、今後とも本県の実情にあった施策となるよう、11月の重要要望でも国に引き続き要望していきたい。
 また、県単独事業「みかん産地再編緊急対策事業」についても、国の対策の隙間を埋める制度と位置付けており、国の施策内容を見極めながら検討することとするなど、みかん対策に最善の努力をしていきたい。

3)県産農林水産物のブランド認定について
(質問)
 ブランド認定に当たって、どのように差別化を図り、本県農林水産物の販売促進にどのように努めていくのか。
(答弁)
 ブランド認定に当たっては、一律の基準を設定するのでなく、例えば温州みかんについては、マルチ栽培や完熟栽培のもの、日当たりなど立地条件の良い園地で生産されたものなど、こだわりの産品を光センサ―を通して選果するなど、産地が責任をもって厳選したものを認定することとし、産地の思いを消費者に積極的に伝えていきたいと考えている。
 また、農林水産物の販売拡大については、まずトップランナーをどう作るか、どう維持し育てるかが課題であり、多くの農家がハードルを越えトップランナーとなることで全体の付加価値を高めることができると考えている。

(その他の議論)
 ・漁業用燃油対策特別資金
 ・利子補給費補助金
 ・漁業と遊魚の調整
 ・林業の活性化に向けた今後の取リ組み
 ・農業制度資金

4.警察経済部会長報告 (戒能 潤之介 部会長)

1)女性及び障害者の就職支援について
(質問)
 雇用対策について、団塊の世代や若年層に対しては各種施策を講じているが、子育てを行う女性及び障害者の需給マッチングに、県としてどのように取り組んでいるのか。
(答弁)
 子育てのために離職した女性の再就職を支援することは、少子高齢化が進む中、大変重要な課題であると認識している。需給マッチングについては、愛workやハローワークにおいても、できる範囲で支援を行っており、出産や育児等によって離職した女性が再就職を希望する場合、知識・技能を短期間で習得できる訓練コースを設定している。
 知的障害者の職業訓練については、平成16年度から松山高等技術専門校において実施しており、16年度、17年度で26名の方が就職しており、18年度も20名が訓練を受けている。
 また、精神障害者のための訓練については、17年度に松山高等技術専門校に開講した2年コースの職業訓練があり、現在20名の方が訓練に励んでいるところである。
 女性も障害者も自立し生きがいを持って暮らしていけるよう、今後一層取り組んでいきたい。

2)警察官の業務負担及び大量退職問題について
(質問)
 県警では過重な業務負担が見られるということであるがどうかとただしたのであります。
(答弁)
 警察官一人当たりの世帯負担数は全国第2位であり、人口負担、刑法犯取扱負担、交通事故負担ともに全国上位を占め、重い負担となっている。
 警察官の増員については国に対し配分を働き掛けており、平成14年度から平成18年度までの間に、170人の配分を得たところである。今後とも負担軽減に向け、国に働き掛け、多くの枠を得られるよう努力していきたい。
(質問)
 定員の確保が担保されることも重要だが、大量退職時代を迎え、今後10年間で4割の警察官が入れ替わる。他県では、技能を継承することや退職者の再雇用に取り組んでいるところもあると聞くが、本県の取組みはどうか。
(答弁)
 交番相談員の活用を含め、警察官OBを活用していくことはきわめて重要な問題であり、職員の再任用を含めて、今後、検討していきたい。

3)県立病院における臓器移植について
(質問)
 県立病院における腎臓移植の症例数はどうか。
 また、臓器移植を実施する場合、提供者が親族であることの確認の状況はどうか。
(答弁)
 腎臓移植は、平成18年8月末時点で、中央病院が44件、三島病院が9件、南宇和病院が2件、計55件実施しているが、県立病院においては、日本移植学会倫理指針の基準、又は、これよりも厳しい基準により提供者を選定している。
 腎臓の提供者が親族であることの確認方法については、善意に基づく提供であり、医師と患者の信頼関係を重視していることから、他の医療機関から紹介を受ける際の確認、健康保険証等による親子関係の確認、入院申込書、手術同意書などから総合的に判断している。

(その他の議論)
 ・南予地域の活性化
 ・団塊の世代対策
 ・「安全・安心情報」の発信
 ・自転車の取締り強化
 ・鹿野川ダムに係るダム使用権の放棄

5.建設部会長報告 (赤松 泰伸 部会長)

1)建設産業の再生支援について
(質問)
 建設産業の再生に対する取り組み状況はどうか。
 また、企業の新分野への進出状況はどうか。
(答弁)
 建設産業の再生を支援するため、平成18年3月に建設産業再生支援アクションプログラムを策定し、専門相談員による相談や情報提供を行う、インフォメーションセンターを設置したほか、県内各地において、経営戦略や新分野進出に関するセミナーやゼミナールを開催し、再生支援に取り組んでいる。
 さらに、経済労働部と連携し、経営基盤強化や新分野進出に必要な経費の助成事業を実施しているが、1次募集で12社が採択され、具体的な取り組みを行っているほか、2次募集についても9社の応募があり、現在審査中であると聞いている。
 また、昨年度、愛媛県建設業協会が実施したアンケートによると、既に98社が新分野に進出していると回答しており、進出先は建設関連産業や環境産業などである。
 今後とも、建設業界や関係機関と連携し、建設産業の再生に努めていきたい。

2)今治小松自動車道について
(質問)
 瀬戸内しまなみ海道の効果を上げるためにも、今治小松自動車道の整備の促進が求められるが、その整備状況はどうか。
(答弁)
 今治インターチェンジから今治湯浦インターチェンジ間の10.3kmが、国土交通省の直轄事業として、平成20年代半ばの供用を目標に事業が進められている。
 平成18年8月末時点での用地買収の進捗率は、面積比で52%となっている。なお、18年度は土居地区の用地買収が進められる予定である。
 今治小松自動車道は、瀬戸内しまなみ海道と松山自動車道を結び、高速ネットワークを形成する重要な路線であり、しまなみ海道の整備効果を、県内はもとより、中国、四国の広範囲に広げていくうえでも、今後とも引き続き、用地買収等に協力するとともに、国に対し、早期整備を要望していきたい。

3)松山外環状線について
(質問)
 長年の懸案となっている松山外環状線の進捗状況はどうか。
(答弁)
 松山外環状線は松山都市圏の慢性的な交通渋滞を解消するだけでなく、松山インターチェンジと松山空港、松山港などの交通拠点を連絡する重要な道路と認識している。
 国道33号から国道56号間は、国土交通省、県、松山市3者の共同事業として取り組み、平成17年度から用地買収を進め、18年8月末の用地進捗率は、面積比で約22%となっている。
 完成は、側道部分が、平成20年代半ば、自動車専用部が暫定2車線で、20年代後半を目標としている。国道56号から松山空港までの間については、29年の国体開催までを目途に、円滑な交通が確保できるよう整備区間への早期昇格を国に対して要望しているところである。
(要望) 幹線道路の交通渋滞を避けるため、自動車が住宅地に入り込み、交通事故が多発していると聞いているが、県は県民の命を守る、命を救うことを第一に考えるべきであり、松山外環状線の整備を促進し、そのような交通事故が少しでも減るよう努力してほしい。

(その他の議論)
 ・道路特定財源
 ・黒瀬ダムの分水
 ・重要路線等の整備
 ・山鳥坂ダム事業

6.文教部会長報告 (田中 多佳子 部会長)

1)9月補正予算で新規計上している「目指せスペシャリスト研究開発推進事業」について
(質問)
 事業の目的はどうか、また、ビジネスだけでなく、社会規範の指導について、どのように考えているのか。
(答弁)
 この事業は、いわゆるスーパー専門校として、松山商業高校が国の指定を受け、インターネット上に仮想商店街を設立し、松山市内の参加店の紹介を行うため、聞き取り調査や商品開発、魅力あるホームページを作成し、地域経済の活性化を図ることを目的に、本年度から3年間研究に取り組むものである。
 また、米国のビジネス系高校との交流事業を行うとともに、高度な職業資格の取得にも取り組むこととしている。
 なお、社会規範の指導については、情報モラルの指導に加え、今回の研究では、単なる儲け主義ではなく、倫理や道徳を守り、地域の活性化に貢献することを学ぶよう指導したい。

2)子どもたちの安全対策及びいじめ問題について
(質問)
 小学校登下校時の子どもたちの安全対策である「見守り隊」の活動状況はどうか、また、いじめ対策にどう取り組んでいるか。
(答弁)
 「見守り隊」は、保護者や地域住民がボランティアとして自発的に活動しており、その組織率は本年6月1日現在、96%で、本年2月現在の組織率68%から、上昇している。「見守り隊」のない学校に対しては、組織の結成についての協力依頼や指導を行うとともに、新居浜の「守ってあげ隊」のように学校のPTAが核となりNPO法人化をして、24時間体制で取り組んでいる事例を紹介し、浸透に努めているところである。
 また、いじめ対策については、一番求められているのは、子どもの変化に気づく目を教員も保護者も持つことであり、保護者の協力も得ながら、学校ぐるみで早期発見、早期指導に取り組むとともに、いじめに関する調査等を定期的に行うほか、子どもが相談しやすい体制の整備や各ケースに対応できる事例集の作成を検討するなど、いじめの未然防止や再発防止に努めたい。
(意見)
 いじめ自殺問題について、子どもの日ごろをよく知る学校と行政との連携や関係機関への支援要請が必要ではないか。

3)教育費の確保について
(質問)
 近年、日本における教育費の比率が下がり、危機感を感じている。特に、義務教育は極めて重要であるにもかかわらず、国の教育費の比率が低下していることについて、どのように考えているのか。
(答弁)
 特に、義務教育は最終的には国の責任のもとで行うべきであると考えており、教育にお金をかけないと世界の中で日本の地位の低下が心配される。安倍新総理が、教育の再生と抜本的改革を最重要課題に挙げ、内閣に教育再生会議を設置して、教育改革の推進を目指しており、今後、国が財源的保証も含め、教育の再生に取り組み、地方は地方なりの知恵と工夫を生かし、これを支えていかなければならないと考えている。

(その他の議論)
 ・給食費の滞納問題
 ・食育の推進
 ・教員の研修旅費の現状
 ・小中一貫教育